高宮清之 医師 (たかみやきよし)

東邦大学医療センター大橋病院

東京都目黒区大橋2-17-6

  • 神経内科 ボツリヌス療法外来

神経内科 内科

専門

眼瞼痙攣・顔面痙攣等へのボツリヌス毒素治療、傾性斜頸

高宮清之

ボツリヌス毒素治療の国内承認前(1990年台の初頭)から、日本における同治療について諸治験に携わってきた高宮清之医師。同治療の保険承認後は、80回以上にわたりボトックス講習・実技セミナーの講師を務めるなど、全国でのボツリヌス毒素治療の普及に尽力してきた。特に顔面に生じる片側顔面痙攣や眼瞼痙攣の治療を専門領域として豊富な実績を持っており、同院のボツリヌス療法外来を訪れる患者が後を絶たない。

診療内容

疲れやストレスがたまっている時などに片方の上まぶたや下まぶたがピクピクと痙攣した経験のある人は多いだろう。これは眼瞼ミオキミアと呼ばれ、一時的な症状で自然になくなることがほとんどであり心配する必要はない。しかし、「これと異なり、左右どちらかのまぶたや頬の筋肉が痙攣を起こし、片側の目をつぶってしまったり、頬や口元の筋肉がピクピクする状態が頻回に生じるのが片側顔面痙攣です。痙攣を起こすまぶたと、顔の筋肉が左右同じ側であることが特徴です」と高宮医師は語る。
片側顔面痙攣の原因の多くは、顔面神経というまぶたを閉じたり頬や口元を動かす筋肉につながる顔面神経が、その根元である脳幹部でその近くにある動脈と接触することにある。ただし、稀に脳動脈瘤や脳腫瘍などが顔面神経にさわっても同様の症状が現れるので、治療開始にあたって頭部MRI・MRA検査でそのような病気がないことを確認する必要があるという。
MRI・MRA検査で脳動脈瘤や脳腫瘍などが見つかった場合は、脳神経外科で手術などが施行される。脳幹部で顔面神経と動脈が接触する場合は、後頭部の頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから器具を差し込んで接触する顔面神経と動脈を離すジャネッタ手術が根本的治療法である(手術には約1~2週間の入院が必要)。手術以外の治療法としては、筋痙攣を抑える作用のある内服薬使用があるが、これだけでは有効率は低いのが現状である。「これに対し、ボツリヌス毒素治療は片側顔面痙攣に対して非常に有効性が高く、特にまぶたの痙攣に対してはほぼ全例で効果が期待できます」(高宮医師)
ボツリヌス毒素は運動神経と筋肉との接合部に作用し、筋麻痺を起こす作用があるため、ごく少量の毒素を痙攣を起こしている筋肉に注射し、その痙攣を和らげることができるもの。注射部位は患者の症状によって異なるが、まぶたに対して4~5ヶ所、頬に対して2~3ヶ所、口元に対して1~4ヶ所程度注射を行うのが通常である。注射は外来で10分程度で済み、注射後はそのまま歩いて帰宅できる。1回の注射で約5万円の薬を使用するが、保険が適応されるため3割負担の患者で薬剤費の自己負担は15,000円程度であり、投与手技量なども含めると1回の注射で約2万円程度の自己負担がかかる。ボツリヌス毒素療法は手術療法と異なり根本的な治療ではなくあくまで対症療法であるため、筋痙攣が治まっている期間は注射後2~3ヶ月程度である。したがって約3~4ヶ月おきに注射を繰り返す患者が多いのが現状である。
片側顔面痙攣に一部似た症状を生じる眼瞼痙攣、顔面神経麻痺後の異常連合運動(ベル麻痺などの後遺症)などに対してもボツリヌス毒素治療は有効なケースがある。ただしボツリヌス毒素治療は筋麻痺作用を利用する治療法なので、顔面の痛みなどの感覚神経の関与する症状には無効であり、顔面の神経痛である三叉神経痛などには効果がない。
ボツリヌス毒素注射は患者の事前登録が厚生労働省から義務づけられており、初診時に注射をすることはできない。そのため、まず外来で症状・状態を診察し、適応と判断された場合に後日注射をすることになる。初診時に頭部MRI・MRAなどの諸検査を施行あるいは予約し、まず2~3週間内服薬を試し、無効や効果が不十分な場合にボトックス治療を検討することがほとんどである。ボトックス治療を行っても満足のいく効果が得られない場合や希望がある時には、脳神経外科に紹介して手術治療について検討することになる。投与を希望する場合は専門医へ相談の上で治療を受けたい。

医師プロフィール

1986年 東邦大学医学部卒業
1990年 東邦大学大学院医学研究科博士課程卒業
1990年 東邦大学医学部附属大橋病院第4内科(神経内科)助手
1997年 東邦大学医学部附属大橋病院臨床生理機能学研究室講師
現在 東邦大学医療センター大橋病院臨床検査医学研究室講師、神経内科ボツリヌス療法外来担当

「片側顔面痙攣・三叉神経痛」を専門とする医師