目崎高広 医師 (めざきたかひろ)

榊原白鳳病院

三重県津市榊原町5630

  • 神経内科
  • 診療顧問

神経内科 内科

専門

神経内科学、特に運動異常症、電気生理学、眼瞼痙攣・片側顔面痙攣・痙性斜頸などのボツリヌス療法

目崎高広

神経内科疾患の専門医である。神経筋疾患の電気生理検査のほか、運動異常症、なかでも眼瞼痙攣・痙性斜頸などのジストニアや、片側顔面痙攣など、ボツリヌス療法の対象となりうる疾患の症候学、およびボツリヌス療法の基礎・実践に精通することで知られている。ボツリヌス療法に関して多数の著書・論文を発表しているほか、全国各地で専門家に向けた講演活動も行っている。次世代の専門家を育てるため、若手医師を対象とした講習・セミナーにおいて講師を務めることも多い。

診療内容

まぶしくて目を開けていられない、片側の顔面がピクピク動くといった症状は、受診してもドライアイや眼精疲労と診断されてしまい、薬を処方されてもまったく改善しないことが少なくなかった。ストレスや疲労のせい、あるいは気のせいとして軽く片づけられることもある。しかし、こうした症状の中にも治療を要する病気が潜んでいる可能性がある。症状として、普通の照明の下でもまぶしくて目が開けられない、肝心なときに目が開かず人や物にぶつかる、意図しないのに片目をつぶってしまう、口元やまぶたがひきつる…などが気になったら「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」「片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)」などが疑われる。特に中高年女性に多く、いずれも自然に治る病気ではない。顔面の症状だけに外見が気になったり、日常生活に支障を来たしたりすることが多い。
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療方法にはボツリヌス療法、薬物内服療法、手術などがある。ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素を、意図せず収縮している筋肉へ注射して麻痺させ、筋肉の異常な緊張を取り除く治療方法である。2013年3月現在、日本では、治療用の製剤が眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、脳性麻痺の尖足、上肢痙縮、下肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症に対して、また、美容専用の製剤が眉間の表情皺に対して承認されているが、ボツリヌスというと食中毒のイメージが強いだけにためらう人も多い。
ボツリヌス療法に詳しい目崎医師は次のように語る。「眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療で使われるボツリヌス毒素は、誰もが知る通り、食中毒の原因となる毒素です。しかし通常の使用法で食中毒のような症状がでることはまずありませんし、また、薬の中にボツリヌス菌は入っていませんから、ボツリヌス菌に感染する心配は一切ありません。ボツリヌス療法は、眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療に大変有効であり、海外では第一選択の治療法として推奨されています。多くの場合は劇的な効果が期待でき、正しく使えば決して危険な薬ではありません」。ただし、ボツリヌス療法はどの病院でも受けられる治療ではない。規定の講習実技セミナーを受講した医師のいる病院に限られている。さらにその医師による診察を経て治療部位、薬用量が決定され、実施日を予約してから数日~2週間後、病院へ薬が到着してから可能になるという。「この薬の使用には同意書が必要であり、同意をいただいてからその患者さんの分だけを注文するため、原則として病院には在庫がありません。初診当日には治療ができないことを理解してください」
この治療は筋肉内注射であり、通常は入院も不要で、ほとんどの患者は治療後すぐに帰宅して普段の生活ができる。効果は数日後から現れるが、数ヶ月で徐々に失われることが多いため、繰り返し治療を受ける必要がある。「ボツリヌス療法は対症療法です。原因を取り除いて完治をめざす治療法ではありません。また、効果が弱まると繰り返し治療を行うことになります。その一方で、副作用も永続するものではありません。つまり試行錯誤が可能である、と理解して下さい」(目崎医師)
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣に対してはボツリヌス療法の他、向精神薬や抗てんかん薬などによる薬物療法や、手術療法も行われる。とくに片側顔面痙攣の多くは、脳の血管による顔面神経の圧迫が原因であり、この圧迫を取り除く手術が根治療法である。手術を受けた患者の大多数は治癒する。眼瞼痙攣に対しては、目を閉じる筋の切除や、まぶたの余った皮膚を取り除く手術などがある。
今後のボツリヌス療法の見通しについて、目崎医師は次のように語る。「ボツリヌス療法の有効率を高めるには、慎重に症状を分析し、注射部位および用量を適切に設定することが必要です。これらに時間がかかるために、現在では採算を度外視した治療法と言わざるを得ず、ボツリヌス療法を実施できる施設は決定的に不足しています。また、一般医師の理解も不十分であり、専門的な知識・経験が必要であるにもかかわらず、次世代の専門家が育っていません。財政面を含めて治療環境の早急な整備が必要だと考えます」

医師プロフィール

1985年3月 京都大学医学部 卒業
2004年 榊原白鳳病院 診療顧問

「片側顔面痙攣・三叉神経痛」を専門とする医師