尼崎賢一 医師 (あまがさきけんいち)

三井記念病院

東京都千代田区神田和泉町1

  • 脳神経外科
  • 科長

脳神経外科 外科

専門

三叉神経痛、顔面痙攣、舌咽神経痛、ボトックス、脳腫瘍

尼崎賢一

尼崎賢一医師は、2007年より三井記念病院に赴任、前部長の元で5年間片側顔面痙攣・三叉神経痛・舌咽神経痛患者の手術及び周術期管理を密に経験。部長退職後も同疾患群に対する治療を継続して行っている。初診外来から入院治療に至るプロセス、手術及び術後の管理、退院後の全ての過程において中心となって関わる。年間約100例の手術治療を継続しており、良好な成績を維持している。積極的に学会発表、学術論文の執筆を行い、2016年からは日本脳神経減圧術学会(三叉神経痛、顔面痙攣、舌咽神経痛の手術に関する専門の学会)の運営委員に選出され、2017年1月にはWorld Neurosurgeons Federation of Cranial Nerve Disorders(脳神経障害に携わる世界の脳神経外科医連盟)の委員にも選出されている。

診療内容

「片側顔面痙攣、三叉神経痛、舌咽神経痛はいずれも比較的まれな病気であることから、まずは患者さんと周りの方には病気への正しい理解が必要であると考えています。この病気はいずれも「神経を血管が圧迫する」ことで起こるため「神経血管圧迫症候群」とも呼ばれます。本格的に症状が発症した場合、命に関わる病気ではないにしろ患者さんの生活状況には大きく影響を及ぼすことが多くなります。ときに患者さんは一人で悩みがちになり、患者さんの周りの方に理解を得られずに過ごしてしまうことがあり、患者さんは周りの方が思っているよりもよほど困っている、という現実によく遭遇します。逆に適切な診断のもと原因がきちんと特定されれば、それに見合った適切な治療選択をしてくことでよりよい生活状況を維持することができます。ですからこの病気の治療を始めるに当たってはまずはそのような患者さんの状況を理解することが重要であると考えています」(尼崎医師)

【診断~治療選択まで】
治療導入のためには正しい診断が不可欠。いずれの病気も似た症状で異なる病気の場合もあり、適切な診断のためには面談による診察及び画像検査までのプロセスは非常に重要である。診断が確実となった場合、治療選択について提示するステップに入る。いずれも命にかかわる病気ではないため、それぞれの病気の一般的な治療手段を説明し、その上で患者さんがどの治療を最も希望するかを主として、治療選択を行っていく。
【外科治療の紹介】
同科の外科治療については、前述の通り、片側顔面痙攣・三叉神経痛・舌咽神経痛にはいくつかの治療選択があり、「根本から治す」ということを考える場合、手術しか方法はない。いずれの病気も血管がそれぞれの神経を圧迫していることで起こるため、根本治療は血管を神経から離す、つまり減圧を行う。そのためこの手術は「頭蓋内微小血管減圧術」「神経血管減圧術」などと呼ばれている(いくつかの名前があるが、内容は同じ)。同科では、確実な減圧を行うために血管を吊り上げるなどして移動させるトランスポジション法を基本としている。一方で神経と血管の間に緩衝材などを挟んで圧迫を解除することをインターポジション法と呼ぶ。トランスポジション法は血管を移動させるため、移動空間の確保、接着させる部位の確保、血管に吊り上げるテープを掛ける技術など、インターポジションよりも難易度は上がり、広い手術野が必要となるが、500円玉程度の大きさの開頭(頭蓋骨を開ける)で、顕微鏡の視野の方向を工夫することにより達成している。
尼崎賢一医師
【注意点】
片側顔面痙攣の手術の場合、気を付けなければならない合併症の一つに聴力障害がある。顔面神経と聴神経が並行して通っているため、手術中に聴神経に負担がかかり、聴力障害を起こす危険性がある。同科では聴力保護のために、手術中には聴性脳幹反応(ABR)モニターを行い、同時に聴神経に負荷をかけないよう脳ベラの使用を避けている。「片側顔面痙攣の手術においていかに聴力を保護できるか」という観点から自身の治療成績をもとに書いた論文は、イギリスの脳神経外科専門雑誌に掲載されている(著書の部に記載)。
【手術関連事項】
手術は全身麻酔で、側臥位(身体を横に向けた姿勢)で行う。熟練した麻酔科医師の協力のもと、安全性の高い手術を提供している。
治療は、内科をはじめ他科とも連携を行い、いろいろな病気の背景をお持ちの方でも手術前の情報収集を徹底し、必要に応じて手術前の段階から複数の科が同時に介入することにより、安心して入院できるよう配慮している。手術後の合併症予防なども、たくさんの患者の治療実績があり、豊富な経験・知識を持ったスタッフが対応している。高齢者の三叉神経痛の手術に関して、医療従事者がチームとして患者に関わることで高い安全性及び治療成績の向上に寄与したという内容の論文がヨーロッパの脳神経外科専門雑誌に掲載されている(著者の部に記載)。

当院を受診した患者さんが必ず手術治療を行うというわけではなく、外来通院にて生活を維持されている患者さんも多数いらっしゃいます。大切なのは正しい病気の理解と患者さんにあった治療選択です。これらの病気の特徴として患者さんから「普通に笑いながら人と食事ができない」ということをよくお聞きしますので患者さんの「思いっきりの笑顔」を取戻すために全力で治療したいと思っています。症状にお悩みの方はぜひご相談下さい。遠方からの患者さん受け入れにも対応しております。(尼崎医師)

医師プロフィール

1993年 群馬大学 医学部 卒業、同年 山梨医科大学(現山梨大学)病院 脳神経外科
1999年 日本脳神経外科学会 認定医
2002年 医学博士
2004年―2006年 スウェーデンウプサラ大学 留学
2007年より三井記念病院 脳神経外科
2011年より同科長 現在に至る

「片側顔面痙攣・三叉神経痛」を専門とする医師