原田省 医師 (はらだたすく)

鳥取大学医学部附属病院

鳥取県米子市西町36-1

  • 女性診療科群(女性診療科・婦人科腫瘍科)
  • 主任診療科長、教授

婦人科 がん 産婦人科

専門

子宮内膜症

原田省

原田省医師は、研究と日々の臨床に直結した治療を実践。子宮内膜症の細胞の増殖に炎症反応が関与することを解明し、これに基づいた治療薬への検討を続けている。臨床面では、腹腔鏡下手術を積極的に行いつつ、2010年11月からはdaVinciを使ったロボット支援子宮全摘出手術もスタート。その高度先進医療への取り組みは国際的にも高い評価を得ており、特に子宮内膜症と卵巣がんに関する研究成績は、世界の婦人科医療に大きく貢献するものと期待されている。

診療内容

子宮内膜症の症状は、主に月経痛と不妊である。根治が難しいとされる疾病であるが、薬物療法・手術などで症状を改善し、進行を抑えることが可能である。子宮内膜症の治療薬は、骨粗しょう症などの副作用のため最長でも6ヵ月の使用制限があるGnRHアゴニストという薬が主流だった。2008年に黄体ホルモン製剤や低用量EP配合製剤/低用量ピルが発売され、長期に渡る症状のコントロールが可能になった。年齢が若く、軽症の人には低用量EP配合製剤/低用量ピル、ある程度重症の人や低用量ピルが効きにくい人には黄体ホルモン製剤と使い分けを行っている。黄体ホルモン製剤には、排卵を抑制し内膜の増殖を抑えるだけでなく、子宮内膜症の痛みの原因となるサイトカインの分泌を抑制する働きがある。個人差はあるものの、服用開始から3ヵ月程度で痛みが改善される場合が多いと言われている。
一方、不妊で自然妊娠を望む場合は、腹腔鏡手術が治療の第一選択になる。薬物療法では排卵が抑制されるため妊娠はできないが、手術なら軽症の人ではある程度の妊娠率の改善が見られる。重症化して卵管や卵巣が子宮内膜症の病変に巻き込まれて癒着してしまっているような場合は、手術をしても自然妊娠が難しい場合がある。この時は、本人の希望によって体外受精に進むこともある。痛みはもちろん、不妊の場合にもできるだけ早く治療を行ったほうが、治療後に自然妊娠できる可能性が高まると言える。卵巣チュコレートのう胞(子宮内膜症によって卵巣に生ずる、のう胞状の病変)が大きくない(5㎝以下)場合は、体外受精治療を先行してもよい。また、子宮内膜症で子宮と卵巣を摘出する根治手術を受けた場合、もう月経は起こらないので進行もなくなる。しかし、閉経前に卵巣を摘出すると、更年期障害をはじめさまざまな影響が出てくるため、若くして根治手術を行った場合には、ホルモンを補充するなど治療を続ける必要がある。
自然に閉経した場合は、根治同様に子宮内膜症の進行は止まるが、卵巣チョコレートのう胞は閉経したからといって急になくなるわけではない。高齢化によって悪性に転ずるケースもあるため、慎重に経過をみて、悪性の疑いがあれば、早めに手術を行う。
原田医師は次のように述べている。
「子宮内膜症の治療のために定期的に婦人科を受診していれば、他の病気のチェックも同時に行えるというメリットがあります。多くの女性にとって、産婦人科は行きづらいところだといわれますが、婦人科のかかりつけ医をもっていると何か心配なことがあったとき気軽に相談することができるので、他の病気の早期発見にも役立ちます」

医師プロフィール

1989年 鳥取大学 助手
1993年 鳥取大学 講師
2007年 鳥取大学 准教授
2008年 鳥取大学 教授