大須賀穣 医師 (おおすがゆたか)

東京大学医学部附属病院

東京都文京区本郷7-3-1

  • 女性診療科、女性外科
  • 教授

産婦人科 婦人科

専門

子宮内膜症・子宮筋腫

大須賀穣

患者数が急増している子宮内膜症や子宮筋腫を専門とし、それらを原因とした不妊症の治療にも積極的にあたっている。治療は、妊娠希望の有無、年齢、症状などを考慮し、対症療法・ホルモン療法・手術療法の中から各患者に最善の方法を選択している。手術をする場合には、患者の負担が少ない腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術に力を入れ、da Vinciシステムを用いたロボット支援下腹腔鏡下手術なども積極的に行っている。子宮内膜症に対する理想的な治療法を確立するため、病気の発症機序に関する研究も進めている。

診療内容

大須賀医師が専門とする子宮内膜症は、本来なら子宮の内腔にある子宮内膜組織が子宮外に発生・増殖する病気。生理痛、腰痛、下腹部痛、排便痛、性交痛などが起きるほか、下痢や月経過多、がん化を起こすこともある。原因は明らかになっていないが10代後半から発生することがあり、エストロゲンの分泌が活発となる20代、30代と年齢が上がるほど増加する。月経周期が短く、月経の期間が長い人は子宮内膜症になりやすいと言われている。閉経を迎えると卵巣からのホルモン分泌がなくなり、子宮内膜症の症状も治まる。現在日本では、生理のある女性の10人に1人と言われ、100万人以上の患者がいると推測されている。また、原因不明不妊患者の50%に子宮内膜症が見つかるという。
子宮内膜症の治療は、対症療法、ホルモン療法、手術療法の中から、年齢、症状や病変の程度、妊娠希望の有無などを考慮し、各患者に適した治療法を選択する。子宮内膜症は慢性の経過をとることが多いため、できるだけ体に負担の少ない治療法を優先しながら治療を進めていく。
近年使用できる薬が増えているホルモン療法では、病気の進行や炎症を抑え、癒着による痛みを緩和することができる。ホルモン剤には、子宮内膜を薄くして生理時の負担を軽くする低用量EP、排卵を抑制して子宮内膜症の病巣を小さくしたり、生理痛を和らげる働きがある黄体ホルモン剤などがある。さらに効果が強いものとして、GnRHアナログがある。これは、脳下垂体に働きかけ、女性ホルモンを閉経レベルに下げる薬。女性ホルモンの分泌を断ち切るので病巣が小さくなったり消失したりするが、うつや骨量低下など更年期症状に似た副作用があるため、使用は6ヶ月が限度とされている。また、男性ホルモン作用を有するダナゾールは、女性ホルモンの分泌を抑え、卵巣でのエストロゲン合成を抑制し内膜症組織の増殖を抑制する作用がある。
チョコレート嚢胞が4~6cm以上ある場合や卵巣がんにつながるリスクがある場合には、手術を行う。手術は、子宮や卵巣を残す保存手術と、子宮と卵巣を全てとる根治手術がある。妊娠希望の有無によって選択が異なるので、医師とよく相談して決めよう。
子宮筋腫は、平滑筋繊維束で構成される良性腫瘍。性成熟期女性のおよそ 30% に認められ、婦人科を受診する外来患者のなかで最も多い疾患の1つだ。発生の原因は不明だが、エストロゲンにより発育が促進されることが知られている。発育する部位により、子宮の壁から外向性に発育する漿膜下筋腫、子宮筋層内から発育する筋層内筋腫、子宮内腔に突出して発育する粘膜下筋腫に分けられ、それぞれ症状や治療法が異なる。閉経後は次第に退縮していく。不妊の原因が子宮筋腫や子宮内膜症にあり、手術により状態の改善が期待できる場合には、手術療法を考慮する。子宮筋腫の手術療法には、根治手術である子宮全摘術と、正常子宮を残し、筋腫核のみを摘出する筋腫核出術がある。手術の術式は子宮筋腫の位置、大きさ、数により決定する。大須賀医師は腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術を積極的に実施し、患者にとって負担の少ない方法で手術を行っている。子宮内膜症と子宮筋腫、そのどちらも、個人の症状や生き方に合った治療方法を選ぶことが大切だ。信頼出来る医師と共に、病気と上手く付き合っていこう。

医師プロフィール

1985年 東京大学医学部医学科 卒業
1995年 米国スタンフォード大学留学
現在 東京大学医学部附属病院教授