中野一司 医師 (なかのかずし)

ナカノ在宅医療クリニック

鹿児島県鹿児島市伊敷台6-27-10

  • 内科、在宅医療
  • 理事長 院長

内科 緩和ケア

専門

在宅医療

中野一司

自身が最期まで受けたい医療システムの構築を目指して、1999年に在宅医療の専門クリニックを開設。18年間にわたる現場での経験から、病人ではなく慢性疾患を抱える高齢者が増える超高齢化社会では、病気を治す「キュア」志向の医療から、病気を持ちながら地域で生活することを医療的に支援する「ケア」志向の医療へ変わる必要性を訴えている。また、早くからICTを積極的に活用。学会の企画運営や連携で機能する地域連携ネットワーク型在宅医療システムの構築などに役立てている。

診療内容

「ナカノ在宅医療クリニック」は、通院困難な患者に対して、定期的な訪問診療を実施する在宅医療専門のクリニック。必要な場合は薬の処方も行い、他の医療機関や介護施設と連携して、24時間・365日往診可能な医療体制を実現している。また、患者や家族の希望により、在宅での看取りにも対応している。超高齢化社会では、病人よりむしろ、がんや認知症といった慢性疾患を抱える高齢者の数が増えている。しかし、現行の医療システムは、病人を対象にした病気を治すためのもので、医師も病気やケガを治す「キュア」のプロとして、日夜教育を受け、診療に当たっている。これに対して在宅医療(病院外医療)は「ケア」を志向し、病気を持ちながら地域で生活することを医療的に支援する。中野医師もクリニック開設当時は、キュア志向の病院医療を在宅で展開していた。しかし、現場でさまざまな問題に直面するなかで、病院医療と在宅医療とは似て非なるものであり、医療者の意識を「キュア」から「ケア」へのパラダイムチェンジさせる必要性に気づくとともに、自らも意識を変化させていった(文献1)。
中野医師の意識改革の気づきとなったのが、京都ノートルダム女子大学の村田久行教授によるキュアとケアの理論(村田理論)だ(文献1)。中野医師はこの村田理論をナカノ理論に発展させ、2017年4月に2冊目の本を上梓した(文献2)。ナカノ理論では、様々な問題は①客観(現実)と②主観(理想・希望・価値))の「ズレ」から生じ(問題の構造)、問題解決の手法として、1)キュア概念:①客観を変えて②主観に近づける問題解決の手法がキュア、2)ケア概念:②主観を変えて①客観に近づける(主観が客観を受け入れる)問題解決の手法がケア、と定義した。また、ナカノ理論を用いて、医療関係者が展開する、訪問診療や訪問看護、訪問服薬指導、訪問歯科診療などを、新たにキュア・ケア志向の在宅医療(狭義)と再定義した。
同クリニックでは訪問診療を重視し、患者の日ごろの状態を把握するために、定期的に訪問する。高齢で寝たきりなど状態が安定している場合は2週間に1回、もう少し細かい観察が必要な患者や在宅医療を導入した当初は1週間に一度、末期がんの患者では毎日訪問することもある。訪問診療を充実させることで、患者についての情報を的確につかむことができ、緊急時の診察でも的確な医学的判断を下せる。ひとつの病気ではなく、オールラウンドプレイヤーとして患者を診ることを求められる在宅医療の医師にとって、患者の詳細な情報は欠かせない。クリニックでは、医師、訪問看護士、ケアマネージャー、ヘルパー、薬剤師など、さまざまな職種によるチーム医療を展開することで、主治医の負担を軽減している。また、チーム医療の質を向上させるために、ICT(Information and Communication Technology)をフル活用して、情報の連携を実現している。電子カルテを導入して、完全ペーパーレス化を実現したほか、2006年に中野医師が立ち上げた在宅ケアネット「鹿児島ML」では、国内はもとより、ボストンやロンドンからも多数の参加があり、医療介護の問題にかかわらず、幅広いテーマで活発な論議が展開されている。2012年度(平成24年度)の診療報酬・介護報酬の同時改定では、こうしたインターネット上での議論が、具体的に国の政策として採用されている。
「病院医療と在宅医療が相互連携することで、超高齢化社会にマッチした明日の日本の医療(介護)システムを展望できる」と中野医師はいう。「ケアタウン・ナカノ構想」を掲げ、2014年3月1日にケアタウン・ナカノがオープンした。また、2017年6月には、ナカノ在宅医療クリニック、ナカノ訪問看護ステーション、ナカン居宅介護支援事業所がケアタウン・ナカノ敷地内に移設・一体化したナカノ在宅医療連携拠点センターがオープンした。高齢になり、障害を抱えても、地域で安心して、人生の最期の時まで生活できる、家族にとっては住み慣れた地域で看取れる環境を提供するという構想に期待したい。

医師プロフィール

1981年3月 東京理科大学薬学部卒業(薬剤師免許取得)
1987年3月 鹿児島大学医学部卒業(医師免許取得)
1987年4月 鹿児島大学病院第3内科入局
1988年1月 鹿児島大学医学部付属病院救急部で研修
1995年3月 鹿児島大学医学部大学院内科系卒業
1995年4月 鹿児島大学附属病院検査部 
1999年9月 ナカノ在宅医療クリニック開設
2004年11月 ナカノ訪問看護ステーション、ナカノ居宅介護支援事業所を設立
2008年3月 鹿児島大学医学部臨床教授
2012年5月 ナカノ在宅医療連携拠点センター設立
2014年3月 ケアタウン・ナカノ開設
2014年3月 全国在宅療養支援診療所連絡会 第1回全国大会 実行委員長
2017年6月 ナカノ在宅医療連携拠点センター設立

「在宅医療」を専門とする医師

横浜市立大学医学部医学科同窓会 倶進会