辻彼南雄 医師 (つじかなお)

水道橋東口クリニック

東京都千代田区三崎町1-3-12 水道橋ビル9F

  • 内科、老年内科
  • 院長

内科 老年科

専門

高齢者のプライマリケア、在宅医療、エンドオブライフケア

辻彼南雄

在宅ケアのスペシャリストであり、ライフケアシステム創設者である佐藤智医師の著書に感銘を受けたことが契機となり、東大病院老年病科の職を辞して佐藤医師の門下に入り、以来氏の下で在宅医療を学ぶ。「病気になってからではなく健康なときから死までを診る家庭医」を目指し「医師と患者の間に立つ専門家の育成」「老年医学の普及」が必要との考えから、クリニックの院長として訪問診療、外来診療を担当する傍ら、東京大学医学部老年病学教室・公衆衛生学教室で非常勤講師を務めている。

診療内容

辻医師が院長を務める同クリニックは、ライフケアシステムの医療部門を支える保険医療機関として独立したという経緯の中で1998年に開設され、在宅医療を軸とした医療活動を行っている。2012年には、東京都文京区内にあるコーラルクリニック、文京根津クリニックと連携して「機能強化型在宅療養支援診療所」となり、それぞれのクリニックの特色を生かしながら、緊急対応の強化を図った。
一方、辻医師が師と仰ぐ佐藤智氏の業務を引き継ぎ、代表理事を務める会員団体「一般社団法人ライフケアシステム」は「自分たちの健康は自分たちで守る」「病気は家庭で治すものである」をモットーとし、会員のライフ(生命、生活)を互いに支え合いケアすることを目的として1981年に発足。真の医療と福祉に寄与することを目指して30年にわたり続けてきた活動は、わが国の在宅医療や在宅ターミナルケアの領域における草分けとして高く評価されている(※2007年度版「厚生労働白書」掲載)。
ライフケアシステムでは会員に対して、
(1)健康維持支援(健診、相談、情報提供)
(2)救急支援(24時間電話相談、救急薬)
(3)治療選択に関わる相談
(4)総合療養(介護)相談
(5)終末期ケア支援高齢者医療、在宅医療、終末期医療
といった活動のほか、研究教育活動やボランティア活動を通した在宅医療、在宅ケアの推進を目的とした活動を行っている。会員制で運営しており、会員数は東京を中心に約240世帯・600名(2017年9月現在)。
在宅医療の治療・対象者・目的とはどのようなものか、辻医師に話を聞いた。
「在宅医療における治療とは、患者さんが家で生活していくために必要な最低限度の治療をするということです。基本的なスキルは入院医療・外来医療と変わりはなく、在宅医療特有のスキルもありません。ただ、在宅では使える機器や道具、設備が少ない。その点で、病院で行う医療処置と在宅で行う医療処置とでは違いが生じます。そもそも入院しないとできない治療を外来では行いませんし、逆に外来で対応できる患者さんをわざわざ入院させることはありません。それと同じで『入院は必要ないが、外来に行けないから、在宅での治療が必要』となるのです。入院・外来とは異なる独自の道を歩み始めている在宅医療を、私は“第3の医療”と呼んでいます」(辻医師)
すなわち「入院患者と外来患者以外の患者さんを全て在宅で診る」というのが、在宅医療というわけだ。
「通院はできないけれども、高度な衛生状態や医療機器を必要としない人が対象。だからこそ、在宅で行うのは『ケアが中心』となります。在宅医療における治療とは『患者さんが家にいることのできる環境を患者家族や医療従事者が作ること』と思います。通院できる程度に元気な人が病院に行き、高度医療を必要とする人だけが入院する一方で“どちらにも当てはまらない人にとって、入院しなくても外来に行かなくても良い状態を作り出すこと”が、在宅医療の最大の目的です」(辻医師)
在宅医療とは、料理人でいうところの「出張料理」のようなものだという。
「料理人が客の家に行き、一般家庭の狭いキッチンで、少ない道具を使い、冷蔵庫の残り物から一流の料理を作るのが出張料理。それを医療に置き換え、患者の家でプロの医療を行うことが在宅医療。“ないない尽くし”の中で、どう最善の医療をするかという想像力が必要です」
「見守ること」も在宅医療においては大切な要素だという。これは、恩師である佐藤医師から学んだことでもある。
「“見守る”ためには、医療従事者として人格を磨くこと、患者さんと十分なコミュニケーションをとること、通常の診察をしっかり行うことが必要。在宅医療では、レントゲンやCTといった検査はできません。だからこそ、その分聴診・触診・視診をしっかり行わなければなりません。きちんと体を触って診察した上で、患者との“協働”で治療を進めることが必要です」(辻医師)
わが国の在宅医療にとっての最大急務は、在宅医の育成だという。
そのため辻医師は、医学部学生や研修医に在宅医療を知ってもらうためのセミナーのほか、所属学会などを通じて開業医にも同様のセミナーを行っている。また、クリニックでは、大学からの学生実習を毎年引き受けている。

医師プロフィール

1984年 北海道大学医学部 卒業
1984年 群馬大学医学部附属病院神経内科勤務
1985年 東京逓信病院内科勤務
1987年 東京大学医学部附属病院老年病科勤務
1990年 白十字診療所勤務
1996年 佐藤クリニック勤務
1998年 医療法人社団互酬会水道橋東口クリニック勤務
2002年 同クリニック所長(現院長)就任
2006年 同法人理事長就任
※1990年~ 一般社団法人ライフケアシステム勤務、2009年~ 同法人代表理事就任