踵骨棘、足底腱膜炎〔しょうこつきょく、そくていけんまくえん〕 家庭の医学

 いずれも足の裏、特にかかとの部分に痛みを生じる病気です。足底腱膜は足の裏にある丈夫なすじで、かかとの骨(踵骨〈しょうこつ〉)に付着していますが、なにかのきっかけでこの腱膜自体あるいは腱膜の踵骨への付着部に炎症が起こることがあり、歩くときにかかとが痛むようになります。これが足底腱膜炎です。この病気では朝起きて足をついた瞬間に痛みが生じることが多く、また長時間歩いたときに痛みを感じるようになる人もいます。足底腱膜の踵骨付着部には、炎症が起った結果、骨棘(骨のとげ)と呼ばれる余計な骨ができてしまうことがあり、踵骨棘と呼ばれます。

[治療]
 運動量や歩行量を減らす、足によくあったクッション性の高い靴を履く、足底から下腿(かたい)後面、大腿後面にかけてのストレッチング、足底板(オーダーメイドの靴の中敷き)の使用、消炎鎮痛薬の入った湿布や軟膏(なんこう)の使用などがおこなわれます。
 通常、数カ月程度の経過で痛みが引くことが多いのですが、症状がなかなか軽快しない場合には、副腎皮質ステロイドの注射や手術がおこなわれることもあります。また最近では、足底腱膜炎に対して体外衝撃波による治療がおこなわれるようになりました。

(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
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