足部に生じる骨端症〔そくぶにしょうじるこったんしょう〕 家庭の医学

 骨端症は成長期にみられる骨の障害で、骨端線に変化が起こって痛みを生じる病気の総称です。
 成長期の骨には骨が成長するための部分があり、骨端線と呼ばれます。この骨端線は、周囲の骨より力学的に弱く、力のかかりかたによっては骨端線がこわれてしまいます。骨折のように一度の大きな外力で骨端線がこわれて骨折を起こすこともありますが、弱めの外力でもくり返し加わることで骨端線に異常が起こることがあり、これを骨端症といいます。足部ではかかとの骨、足部中央の舟状(しゅうじょう)骨、足の指の付け根にあたる第二あるいは第三中足骨の先端に生じることがあります。このうち舟状骨、中足骨に生じる骨端症は、発見者の名前からそれぞれ第一、第二ケーラー病と呼ばれます。
 踵部骨端(しょうぶこったん)症は10歳前後の学童にみられる疾患です。かかとの痛みがおもな症状で、診断にはX線検査が必要です。基本的に経過が良好な病気で、痛みがひどければスポーツ活動の制限などで経過をみますが、成長がとまるころまでに症状が消えることがほとんどです。
 第一ケーラー病は5~6歳ごろに発生することが多く、歩いたり運動した際の足の内側の痛みがおもな症状で、X線検査により診断されます。たいていの場合経過は良好で、過度の運動を避けるようにすることで成長の終了とともに問題なく治癒します。
 第二ケーラー病は10歳前後の女児に起こることが多い病気で、歩行やつま先立ちしたときの足の前部の痛みが症状です。先に述べた2つの疾患とすこし違い、骨の変形が残ったまま成長が終了してしまうことがあり、この場合にはのちのち痛みをひきずるおそれもありますので、専門医によるきちんとした診断、治療が必要です。

(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
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