痛風性関節炎〔つうふうせいかんせつえん〕 家庭の医学

 足の親指(母趾〈ぼし〉)の付け根は痛風性関節炎、いわゆる痛風発作がよく起こる場所です。男性で原因がはっきりしないのに、この部位に急に痛みと発赤(ほっせき)が生じた場合には痛風性関節炎を考える必要があります。ふだんの血液検査で尿酸値が高めの人では、なおさら痛風性関節炎の可能性が高まります。
 痛風は、血液中の尿酸という物質が多すぎるために起こる病気です。血液中に溶けきれない尿酸が関節の中に徐々に蓄積されていき、この尿酸が関節炎をひき起こします。尿酸の蓄積は徐々に進みますが、関節炎は急に起こることが特徴で、まったく思いあたる原因がないこともあれば、軽く母趾をひねったなど、ささいなきっかけによって炎症が生じることもあります。なお、痛風性関節炎が女性に起こることはまれです。
 症状は母趾の付け根の強い痛みで、はれや発赤を伴う点で細菌感染による蜂窩織炎(ほうかしきえん)と症状が似ています。蜂窩織炎の場合は早めの治療が重要です。痛風性関節炎と思っても実は蜂窩織炎ということもありますから、痛風性関節炎が疑われる場合は早めに医師による診療を受ける必要があります。
 痛風性関節炎の場合、鎮痛薬の服用などで症状は通常数日で軽快しますが、痛風発作を起こした人は、再発予防のため食事に注意したり、血液中の尿酸の濃度をコントロールする薬を服用する必要があります。

(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
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