吉兼浩一 医師 (よしかねこういち)

北九州市立医療センター

福岡県北九州市小倉北区馬借2-1-1

  • 整形外科
  • 主任部長 リハビリテーション技術課長兼務

整形外科 外科

専門

脊椎・脊髄疾患、最少侵襲手術、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症

吉兼浩一

吉兼浩一医師は、身体への負担が小さい手術として注目を集めている「経皮的内視鏡視下椎間板ヘルニア摘出術(PED)」の第一人者。大阪以西の西日本の医療機関で初めて導入し、その普及に努めた。わずか8ミリの傷口から内視鏡を用い、筋肉の剥離や靭帯、骨の切除をほとんど伴うことなくヘルニアだけを摘出する。また腰部脊柱管狭窄症についてもPED内視鏡を応用した手術で実績がある。これまでの内視鏡手術の累計実績は2,300例。その高い技術は患者の口コミやインターネットを介して広く伝わり、九州はもとより、全国から手術希望の患者が訪れている。

診療内容

北九州市立医療センターは、北九州市の基幹病院として幅広い疾患の治療に対応すると同時に、各医師はそれぞれの専門分野の臨床に積極的に携わっている。吉兼医師が専門とする脊椎疾患では「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」に対する内視鏡下での手術の低侵襲、好成績が広く知られている。
「ヘルニア」とは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から突出した状態のことを指し、腹部の内臓に多く見られる。椎間板ヘルニアは、腰椎(背骨)のクッション的な役割を持つ椎間板が、元の位置から押し出されてしまう状態。突出した椎間板が神経を圧迫したり、神経と癒着したりすることで痛みが生じる。この突出した部分を切除することが手術の目的だ。従来は背中を5センチ程度切開して、肉眼あるいは顕微鏡で確認しながらヘルニアを取り除く「Love法」が用いられていた。傷口も大きく、術後は寝返りが打てない安静状態が続き、痛みにも悩まされ、リハビリにも時間が掛り、数週間の入院を必要とした。
これに対して現在では、より患者の身体へのダメージが少ない、内視鏡を使った低侵襲手術が主流となりつつある。先端にレンズの付いた内視鏡の管を身体に挿入し、モニターに映し出されたヘルニアと神経の位置関係を間近に確認しながらヘルニアを摘出する方法で、傷口が小さく、出血や術後の痛みも少なく、入院期間も短い。なかでも身体への負担が最も少ないといわれているのがわずか8ミリ径の内視鏡を用いて局所麻酔下に行う「経皮的内視鏡下椎間板切除術(PED)」である。
PEDは局所麻酔下に行うことが出来る新世代の低侵襲手術として広く注目されている方法で、標準的な内視鏡手術療法として世界的に広がりつつある。しかし、日本で本格的に行っている技術認定医、医療機関はまだ少なく、全国的には導入が始まったばかりである。北九州市立医療センターでは、2009年9月に吉兼医師によってPEDが導入され、現在まで1200例以上の治療実績があり、治療成績も優れている。わずか8ミリの傷口から、筋肉の剥離や靭帯、骨の切除をほとんど伴うことなく、内視鏡を直接椎間板ヘルニア部位に到達させることが出来、痛みの原因となっているヘルニアのみを切除する方法で、入院期間は通常2泊3日、場合によっては日帰り手術も可能である。時間がない現代人にとって非常に恩恵の多い手術法で、現在ではほぼすべてのヘルニアに対応が可能である。ただ椎間板ヘルニアのタイプによっては全身麻酔下に行う必要がある。
「腰部脊柱管狭窄症」は、多くの場合加齢に伴って腰椎の関節や靭帯が肥大し脊柱管へと突出、神経が圧迫されることで、歩くと腰から足が痛くなり、しびれて歩けなくなるという間欠跛行を引き起こす。この肥大した骨や靭帯を切除することで症状が改善されるが、以前は背中を10センチ以上切開して手術が行われていた。「すべり症」を伴った場合には金属製のボルトを使った固定術が行われる場合もあり、術後の長期安静と入院治療を要していた。
北九州市立医療センターでは、わずか16㎜の傷口からMED内視鏡を使い神経の圧迫を取り除くMEL手術が2006年から吉兼医師によって導入され、これまで900例以上の治療実績があり、治療成績も優れ、高い満足度を得ている。また2011年からは「腰部脊柱管狭窄症」「すべり症」についても8ミリのPED内視鏡を用いてMEL同様の除圧術をさらに身体への負担を軽減しおこなうことの出来るPEL手術も導入され、これまで300例の治療実績がある。これらの手術は全身麻酔下に行われ、全例で手術中の神経機能モニタリングを行っており安全で確実な手術を心掛けている。PEL手術では身体への負担は極度に軽減されため、手術当日よりリハビリによる歩行訓練開始が可能である。
内視鏡を使った摘出術では、医師は直接患部を見ることはできない。モニターに映し出される画像を確認しながら、手術器具を操作して、神経根に触れないように細心の注意を払って摘出を行う。内視鏡の視野は、MELで直径16ミリ、PEDではわずか8ミリしかない。しかも内視鏡を通して見る画像は目視とはかなり感覚が異なり、細かな作業を正確に行うためには高度な技術が必要とされるため、技術認定医の在籍する実績のある施設で施行されることが望ましい。

医師プロフィール

1993年3月 九州大学医学部 卒業
1993年5月 九州大学付属病院整形外科
1994年6月 総合せき損センター整形外科
1995年6月 広島赤十字・原爆病院整形外科
1996年6月 山口赤十字病院整形外科
1997年6月 新中間病院整形外科
1998年6月 浜の町病院整形外科
1999年6月 佐賀県立病院好生館整形外科
2004年4月 北九州市立医療センター整形外科部長
2015年4月 北九州市立医療センター整形外科主任部長

「腰痛(腰椎椎間板ヘルニア)」を専門とする医師