オムスク出血熱〔おむすくしゅっけつねつ〕

 オムスク出血熱ウイルスによる感染症です。
 このウイルスは、ロシアのオムスクで発見され、感染の発生もシベリアに限られています。自然界ではマダニとネズミなどのげっ歯類間で感染環が維持されています。人はおもにマダニにかまれて感染しますが、げっ歯類などの尿や血液に触れて感染する場合もあります。また、まれに人から人への感染、飛沫(ひまつ)感染もあるようです。潜伏期は3~9日で、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、せき、徐脈、脱水、低血圧、消化器症状を生じ、まれには出血熱となります。また髄膜炎、腎機能障害、肺炎などを合併することがあります。致死率は0.5~3%ですが、難聴や脱毛、神経精神障害などの後遺症を残すことがあります。
 診断は血液・髄液からの病原体、病原体遺伝子、特異抗体の検出によります。特異的な治療法や予防法はありません。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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