頴川晋 医師 (えがわしん)

東京慈恵会医科大学附属病院

東京都港区西新橋3-19-18

  • 泌尿器科
  • 主任教授 診療部長

泌尿器科 がん

専門

泌尿器腫瘍、前立腺がん、腹腔鏡手術

頴川晋

頴川晋医師は、前立腺がんの腹腔鏡手術の経験が豊富で、放射線治療も得意とする。腹腔鏡下根治的前立腺摘除術をはじめ、永久挿入密封小線源療法、高線量率組織内照射療法など、現行で可能な最先端の治療法すべてを網羅して取り組んでいる。また、全国から訪れる多くの患者を効率的に診療するために、国内初となる地域医療のネットワークを構築。「前立腺がん地域医療連携CaPMnet」として診療所の医師と病院の医師が2人で患者を診る、ダブル主治医体制を実現させた。

診療内容

【前立腺肥大症】…前立腺は膀胱の下に位置し、精液の一部である前立腺液を分泌する働きをもつ。前立腺肥大症は加齢に伴っていちばん内側の「内腺」が肥大し、排尿のトラブルが起こる病気。発生原因については、男性ホルモンと女性ホルモンとのアンバランス説などいろいろな説があり、真の原因は未だ解明されていない。
治療は、最初は薬物療法を選択する。主に使われるのは「α1(アルファワン)遮断薬」と「抗男性ホルモン薬」で「漢方薬」や「植物製剤」が使われることもある。また、膀胱が過敏になっていて頻尿が起きている場合「抗コリン薬」を併用することもある。薬の効果がみられない場合や、尿意はあるのに尿が出せなくなる「尿閉」を繰り返すなど重症の場合は「手術」が検討される。現在、最も多く行われている方法が経尿道的前立腺切除術(TURP)。ループ状の電気メスを装着した内視鏡を尿道内に挿入し、患部をテレビモニターで見ながら、肥大した前立腺組織(腺腫)を尿道粘膜とともに切り取る現在における標準的手術。手術は、ふつうは2時間ほどで終了する。尚、麻酔法は、脊椎麻酔や硬膜外麻酔などの下半身麻酔もしくは全身麻酔を併用することもある。
【前立腺がん】…最近では、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が普及し、早期の前立腺がんが発見され、手術や放射線により治癒できる確立が高まった。 早期の前立腺がんであれば、年齢や身体的な条件はあるものの、様々な治療法を選ぶことが可能。しかし、前立腺がんが進行すると骨盤のリンパ節や全身の骨に転移し、この場合には全身的な効果が期待できるホルモン療法が中心となり治療法が限定される。
1) 手術療法(根治的前立腺全摘除術)…前立腺と精嚢を摘出し、尿道と膀胱をつなぐ方法。手術の方法は大きく分けて2つ(開放手術・腹腔鏡手術)あり、下腹部を縦に約15cm切開する開放手術と下腹部に小さな穴を開けて空気を送り込み腹腔内を膨らませ、その中に挿入したカメラで得られる映像を見ながら特殊な道具を使いながら手術を進める腹腔鏡手術がある。入院期間はどちらも約2週間以内。手技の進歩により尿失禁や男性機能不全などの副作用は以前より発生が少なくなっている。また、摘出された前立腺がんを病理組織検査で、詳しく調べ追加治療が必要かどうかの判断を行う。
2) 外部放射線治療…この治療は外部照射装置(リニアック)を用いて体外から毎日少しずつ放射線を前立腺に投与する方法。外部照射だけによる治療の全期間は7~8週間。通院治療が可能。副作用は下痢や便秘などの消化器症状。
3) 組織内照射治療(密封小線源挿入治療)…前立腺組織内に密封小線源(金属カプセルに入った低線量の放射性物質)を永久に留置して前立腺がんを治療する方法で、副作用が比較的少なく、治療効果が高いことから近年注目を浴びている。 この治療は前立腺組織内に線源を留置するため直腸など周囲組織への放射線も限定されており、 治療も2-3日の短期入院で済む。
治療に使われる小線源(シード)は0.8×4.5ミリのチタン製の金属カプセル内にヨウ素125という放射性物質が封入されている。半減期は約60日と比較的長いものの、そのエネルギーは大変小さく体外への影響も極めて小さいなどの特徴を持っている。 一般的に一人の治療に対し必要とされる線源数は70~100個程度。 総線量は140~150Gyと高線量だが, 外部照射の70~80Gyに相当し、これらの線量が半年程かけてゆっくり前立腺に投与される。治療時間は1~2時間ほど。
4) ホルモン療法(内分泌治療)…男性ホルモンを抑え、前立腺がんの増殖・進行を抑制する方法として、除睾術(睾丸を摘出する手術)あるいは注射(LH-RHアナログ)が行われる。抗男性ホルモン剤を内服する場合もある。一般的に転移のある前立腺がん患者や、手術療法や放射線療法後に再発を認めた患者に行われる。治療は外来通院で行う。
5) 経過観察…前立腺がんと診断されても非常に早期でさらにがんも穏やかであると判断した場合には、経過観察とする方法がある。3ヶ月ごとにPSAの数値の変化を観察し、1~2年ごとに再度前立腺生検を行う。PSAが10ng/mlより大きかったり、前立腺の外への浸潤が疑われたり、グリソンスコアが7~10場合は積極的にすすめない。

放射線療法後の局所再発前立腺がんに対しては、前立腺全摘除術・凍結療法・小線源療法・HIFU という4つの根治的救済療法があげられる。現在同科では、最新治療臨床試験として「根治照射後、局所再発に対する凍結療法」を開始している。

医師プロフィール

1981年 岩手医科大学医学部卒業、北里大学病院泌尿器科入職
1988年 米国留学(ベイラー医科大学、ヒューストン)、帰国後 北里大学講師、助教授
2004年 米国メモリアルスロンケタリング癌センター、客員教授
2004年 慈恵医科大学泌尿器科主任教授、現在に至る