遠藤文康 医師 (えんどうふみやす)

聖路加国際病院

東京都中央区明石町9-1

  • 泌尿器科
  • 医長

泌尿器科 がん

専門

前立腺肥大症、HoLEP手術とダ・ヴィンチ手術(ロボット手術)、前立腺がん手術

遠藤文康

遠藤文康医師が専門とする、前立腺肥大症に対するHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)は、メスで切開することなく前立腺肥大を治療する細かな技術を要する内視鏡手術である。本手術は従来の内視鏡手術のように電気メスで切除する方法と異なり、前立腺の肥大した部分(内腺)を外腺からホルミウムレーザー光を照射して、剥離(剥がす)する方法である。この方法は出血がほとんど無いことから大きな肥大症も治療可能となった画期的な手術法。核出した腺腫は膀胱内で、細切・吸引して摘出する。聖路加国際病院はいち早くHoLEPを導入し、2013年12月までに700例ほどの手術が実施されており、遠藤医師はこの手術のエキスパートである。
HoLEPは安全性の高いすぐれた手術であるが、手術後の主な合併症である術後の尿失禁がしばしば問題となった。遠藤医師は「anteroposterior dissection (順行性剥離)HoLEP」という新しい手術を考案し、失禁の合併症を従来の手術よりも減らすことができた。現在もなお、改良を重ねよりよい手術を目指し続けている。
学生時代に泌尿器科医が細かな手術の技術を職人のように磨いている姿に憧れ、泌尿器科医を志したという。

診療内容

【同院泌尿器科の特徴】主に腎臓・尿路系の器官や生殖器の病気を幅広く扱い、泌尿器疾患全般を対象に、各種ガイドラインに沿ってエビデンスに基づいた質の高い診療を心がけ、科内の医師全員が話し合いをしながら診療を進めるチーム医療を実践している。
前立腺がん治療は得意分野であり、2011年8月より手術支援ロボットda Vinciによる前立腺全摘術を導入して年間100例以上と多数の手術を行っている。また、同院の放射線腫瘍科と共同で放射線治療(小線源療法、IMRT)も行っている。
鏡視下手術(腹腔鏡手術)にも積極的で、腎がんや副腎腫瘍の摘除も行われている。
また最近話題の男性機能低下に対しても、NYのMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerが提供する男性性機能クリニックをモデルとした専門外来「聖路加メンズヘルスクリニック」の提供を始めた。術後の合併症や加齢による性機能障害をお悩みの方には、当クリニックの受診を勧めている。

【HoLEPについて】前立腺は精液成分の一部を作る生殖器。この前立腺の内側にある内腺といわれる領域が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害をもたらすのが前立腺肥大症である。睡眠障害や膀胱炎などの原因にもなり50歳代から増え始め80歳代の約80%の人にみられる。
「前立腺肥大が重症化すると日常生活への支障が大きくなり、腎臓など他の臓器を痛めてしまうことにもなりかねません。年をとれば少々の排尿トラブルはしかたがないとあきらめて放置せず、泌尿器科の医師に相談してほしい」と遠藤医師はアドバイスする。
当科では前立腺肥大に対して、ホルミウムレーザー前立腺肥大核出術(HoLEP)による内視鏡手術を早い時期から導入し行っている。HoLEPは従来の標準手術法の経尿道的前立腺切除術(TURP)より出血が少なく、輸血のリスクが低いことや、前立腺の大きさに制限が無く手術が可能であること、手術中に使用する還流液が生理食塩水なので、低ナトリウム血症(TURP)が起きないこと、術後の疼痛が少ないことなどがあげられる。最近は、導入する医療機関も増えつつある。
HoLEPは、尿道から挿入した内視鏡を通じて、レーザーを照射し、肥大した前立腺部分をはがして、それを生理食塩水で満たされた膀胱内に落とし、モーセレーター(鋭い刃で病変を粉砕しながら吸引する管状の機器)で摘出する。つまり、みかんの実と薄皮の境目をたどりながら、実だけをていねいにはがし、粉々にして吸い出すのである。
「この術式なら、これまで開腹手術でしか取れなかった大きな肥大でも、きれいに取り除くことができますし、前立腺組織(内腺/腺腫)を核出するため、残存組織が少なく、再発の可能性はほとんどありません。入院期間も4泊5日と短いです。少ない出血で、術後の回復が早く、排尿障害などの後遺症も少ないので、早期より社会復帰が可能となります」と遠藤医師は言う。
さらにHoLEPには、組織を回収して、病理診断ができるというメリットもあり、偶然がんがみつかるケースも多いと言う(聖路加病院では8%程度)。現在、同科では2台のレーザー機器を導入して短い待ち時間で手術も予定が入るような体制になっている。同院は多数の診療科を擁し、高齢者特有の心臓や糖尿病などの合併症をかかえた患者にも安心して手術を受けられる環境を提供している。

医師プロフィール

1993年 筑波大学医学部 卒業。同年より筑波大学病院泌尿器科で研修医
2000~2002年 DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてドイツ・ギーセン大学(Justus-Liebig Univ. )留学
2002年 筑波メディカルセンター病院 泌尿器科医長
2005年 筑波学園病院 泌尿器科医長
2006年 聖路加国際病院 泌尿器科 現職に至る