武田篤 医師 (たけだあつし)

国立病院機構 仙台西多賀病院

宮城県仙台市太白区鈎取本町2-11-11

  • 神経内科
  • 院長

内科 神経内科

専門

パーキンソン病、パーキンソン症候群、レビー小体型認知症、アルツハイマー病などの神経変性疾患、その他神経疾患全般

武田篤

武田篤医師のグループは、嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測し、認知機能障害の早期発見・早期治療ができる可能を示して国際科学雑誌「Brain」に発表するなど、パーキンソン病や認知症の研究に於いて世界的に注目されている。
また、パーキンソン病治療ガイドライン2011では委員の一人として改訂に従事した。パーキンソン病治療に関する著書や論文も多数発表している。
これらの業績に対して2012年、楢林賞を受賞した。これは、パーキンソン病に関連する疾患についての優れた研究を対象に、毎年1名に対し日本神経学会から贈呈される賞である。

診療内容

パーキンソン病は、脳幹にある黒質という部分の神経細胞が次第に減少し、その神経が産生しているドーパミンという物質が減ることによって起こる病気である。パーキンソン病を発症した場合、身体の運動機能が損なわれるのと同時に、しばしば認知症を合併することが知られている。不足しているドーパミンを投与し、身体の運動機能を維持させることが現在の治療法になっているが、認知症を合併した場合、ドーパミンの補充のみでは治療効果に限界がある。

近年、運動症状に対する薬物治療が進歩しドーパミン補充薬を始めとした治療薬が数多く開発され長期に渡る病気のコントロールが可能になってきている。しかし、認知・精神機能障害、睡眠障害、感覚障害、自律神経障害などの非運動症状がこれまでの予想以上に多く見られる上、患者QOLに大きく影響することがわかり重要視されるようになってきた。
武田医師らのグループは2012年パーキンソン病患者における重度の嗅覚障害が認知症の前駆症状であるとの研究結果を発表。この研究では、認知機能障害のないパーキンソン病患者44人に「匂い識別覚検査法(OSIT-J)」(産業技術総合研究所が開発)を行い 3年間の経過をフォローした。その結果10人が認知症を発症したが、全例エントリー時に重度の嗅覚障害を示していたことがわかった。つまり嗅覚検査によって認知症の早期発見/早期治療ができる可能性が示唆された。また、重度の嗅覚障害を示すグループは脳画像検査でも、脳萎縮傾向とともに広範な脳機能の低下傾向が見られた。現在、嗅覚障害をバイオマーカーとしてパーキンソン病の認知機能障害に早期に治療介入する臨床研究を進めている。

運動機能改善のためにリハビリテーションはとても重要「薬を飲んだら、身体を動かすことも忘れずに、最初は大変でも繰り返すことで、よい状態が維持できます」と武田医師は言う。
そのことを痛感したのが、東日本大震災のときだと言う。沿岸部で被害を受け避難所に移った患者は、きちんと服薬を続けていたにもかかわらず、2~3ヵ月のうちに動けなくなった方が続出。急激な環境の変化によって健康的な食生活が中断されたことや外出がままならず、寝て過ごす時間が増えたことが原因だ。
「薬を飲んでも、動かないで寝ていたり、座っているだけではよくなりません。ぜひ身体を動かし運動をしましょう。また、パーキンソン病の患者さんは、気持ちが後ろ向きになる傾向があります。家族や周りの人が、どんどん励ましてください。「公園に行きましょう」「○○さんに会いに行きましょう」と積極的に連れ出し、体を動かす機会をつくってあげてください」とも言う。
体を動かす機会があるのとないのとでは、予後がかなり違う。食生活と運動を含めた日常生活をきちんと続けることが大切であり、これには家族の協力が欠かせないのである。

医師プロフィール

1985年3月 東北大学医学部 卒業
1985年5月 医師免許取得
1992年3月 東北大学大学院医学研究科 卒業
1985年6月 東北大学医学部附属病院研修医(神経内科)
1986年10月 国立療養所宮城病院・神経内科医師
1987年1月 国立療養所岩手病院・神経内科医師
1987年10月 国立療養所西多賀病院・神経内科医師
1992年4月 東北大学医学部附属病院医員(神経内科)
1994年7月 東北大学医学部助手(神経内科)
1996年4月 講座教育担当主任(神経内科)
1998年10月 米国Case Western Reserve大学病理研究所・神経病理部門留学
2000年2月 東北大学大学院医学系研究科助手(神経内科)
2001年3月 東北大学病院神経内科病棟医長
2004年10月  同  外来医長
2006年2月 東北大学病院神経内科講師
2007年5月   同  医局長
2007年5月 東北大学大学院 神経・感覚器病態学講座 神経内科学分野准教授
2013年10月 国立病院機構 西多賀病院 副院長
2014年4月 国立病院機構 仙台西多賀病院 院長

受賞
1994年1月 東北大学医学部奨学賞
1994年12月 東北脳血管障害懇話会中村隆賞
1995年2月 井上科学振興財団研究奨励賞
2007年4月 東北大学医学部教育貢献賞
2012年5月 日本神経学会楢林賞
2012年11月 The Best Doctors in JapanTM 2012-2017