中葉(舌葉)症候群〔ちゅうよう(ぜつよう)しょうこうぐん〕

 中葉(舌葉)症候群は、右肺の中葉や左肺の舌葉領域が慢性の炎症によって変化している状態をいいます。
 この病気は中葉に限局して感染が起こり、炎症性病変が形成されると考えられています。

[原因]
 中葉(舌葉)が、肺内で特異的な構造をしていることに原因があるとみられています。
すなわち、以下のようなことが原因として考えられています。
 1.中葉気管支は多数のリンパ節によってかこまれており、これらのリンパ節には中下葉など広い領域からリンパ液が流れ込み炎症を起こしやすい。
 2.中葉気管支は鋭角に枝分かれをしており、比較的長くて細いために圧迫を受けたり、狭窄(きょうさく)を起こしやすい。
 3.中葉はほかの肺と孤立しているために肺内に分泌液が貯留し、無気肺(肺から空気のなくなった状態)となりやすい。
 4.中葉は発育が不十分なことが多く、生体防御力がほかの肺の部位に比較し低い。

[症状][診断]
 せき、痛み、血たん、くり返す肺炎が特徴的な症状としてあげられます。
 せきやたんは、肺の化膿した病変や気管支拡張を起こした病変からもたらされるものであり、痛みは主として胸膜への刺激によるものです。
 胸部X線検査では中葉(舌葉)の肺に空気がなくなり、フィルム上では白く描出されます。胸部を正面から写した写真では、肺の中央部を頂点とする三角形の陰影が心臓の右側に接してみられます。舌葉域にも病変がある場合には、左肺で前記と同様の所見を観察することができます。側面から写した写真では、心陰影に重なり肺の中心から前下方に向かう細長の三角影がみられます。胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査では、中葉(舌葉)で含気がなく萎縮(いしゅく)している像と、そのなかに拡張した気管支の透亮(とうりょう)像(すけて見える像)が観察されます。
 気管支鏡検査ではがんなどで中葉入り口が閉塞している場合を除いて、通常はむしろ気管支は拡張しています。感染が加わると、粘膜の発赤腫脹(ほっせきしゅちょう)や着色した膿(のう)性の分泌液、病巣部からの出血を示す血液の流出がこれらの気管支で観察されることがあります。

[治療]
 肺や気管支に感染があれば、病原体を調べて抗菌薬を使用します。気管支拡張症に対しては、去たん薬、吸入療法、体位ドレナージなどの治療をおこない、気管支に大量の分泌物がつまっている場合には、気管支鏡により吸引除去します。血たん、喀(かっ)血に対しては気管支拡張症に準じた治療をおこないます。
 外科的切除は、肺炎症状や喀血が数多くみられ、病変が一部に限られている場合にのみおこなわれることがあります。
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