びまん性汎細気管支炎〔びまんせいはんさいきかんしえん〕 家庭の医学

 びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は慢性の炎症が呼吸細気管支を中心にして起こり、これらの病変が肺の広範囲にわたって分布するため、呼吸機能が障害される病気です。発病年代は40~50歳代をピークとし20~60歳代の各年齢層にみられます。この病気のおよそ80%の人に慢性副鼻腔炎がみられることが知られています。

[原因]
 不明ですが、患者のほとんどが東アジア地区に限定されていることや、HLA抗原との関連性などから遺伝性の病気である可能性も考えられています。

[症状][診断]
 慢性のせき、たんや息切れがみられます。細菌感染が加わるとたんが黄色や緑色となったり、時には血たんを伴う場合もあります。胸部X線検査では両側の下肺に散在性に分布する小粒状影が特徴的ですが、これらの陰影が見えず肺が肺気腫のように大きくふくらんだ状態の場合もあります。
 胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査では細気管支領域に分布する淡い小結節影として観察されます。呼吸機能検査では、気管支が狭窄(きょうさく)していることを示す1秒率の低下がみられ、病気が進行すると、からだのなかの酸素が低下する状態となり動脈血ガス分析で低酸素血症を示すようになります。
 診断を確定するには、肺の組織を採取してこの病気に特有の病変を確認することになりますが、実際にはからだへの侵襲もあるためおこなわれないことが多く、上記の症状や胸部X線検査などで推定しています。

[治療]
 マクロライド系抗菌薬には、炎症反応が改善し、たんが減るなどの、抗菌作用以外のはたらきがあることがわかってきています。マクロライド系抗菌薬を少量長期間にわたって使用すると、せきやたんが減り息切れも軽くなり、胸部X線検査でも粒状影が消失してくるなどの改善がみられます。急に悪化した場合には、たんの検査により確認された細菌に対して有効な抗菌薬を一時的に使用します。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 准教授〔呼吸器内科学〕 塩田 智美)
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