黄熱(病)〔おうねつ(びょう)〕

 野口英世博士が本病の研究中に殉職したことで有名です。黄熱ウイルスの感染によるウイルス性出血熱で、南米やアフリカでみられます。ネッタイシマカが媒介動物で、人から人へと感染します。潜伏期は3~6日間で、皮下出血や歯肉出血、黒色の嘔吐(おうと)、黄疸(おうだん)、乏尿、血圧低下などのショック症状を呈します。致命率の高い予後(病気の経過についての見通し)がよくない疾患です。
 発病から約1週間で治癒することもありますが、約10%の人が死亡するといわれます。診断は血液中のウイルス分離、ウイルス遺伝子の検出、特異抗体の検出によりおこないます。特効薬はなく、症状に応じた治療をします。
 ワクチンによる予防が可能なので、流行地に渡航する場合はあらかじめワクチンの接種をおこなっておくことが重要です。黄熱の汚染地域を有する国に入国するときは、ワクチンの接種証明書を求められることがあります。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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