血便、下血〔けつべん、げけつ〕
便に血液がまざるのにはさまざまな原因があります。もっとも頻度が高いのは痔(じ)からの出血で、ほかにも大腸がんや大腸ポリープ、大腸憩室症による炎症や出血、感染性腸炎、炎症性腸疾患なども考えられます。
中高年者で、数日間便秘が続き、急に下血と腹痛が起こった場合、虚血性大腸炎が疑われます。腸管の内圧の上昇が引き金になり、腸管の血行が悪くなって起こるのです。軽症では一過性のため数日間のうちに自然に改善するものが多く、治療の必要がないこともあります。腹痛が強いようなら、医師の診察を受け、鎮痛薬や鎮痙薬(ちんけいやく)を処方してもらいます。発熱があったり血液中の炎症所見が強ければ、入院して抗菌薬や輸液が必要となります。
潰瘍性大腸炎の場合は、反復する下痢と血便が特徴で、ケチャップのような便が出ます。左の下腹部痛を伴うことがあります。クローン病では反復する腹痛がおもな症状で、まっ赤な血便は多くありません。潰瘍性大腸炎もクローン病も、若い人に多い病気です。
糞便のまわりに血液が少量付着しているときは、大腸や直腸のがんやポリープが疑われます。特にがんやポリープの場合は、初期は下血以外にほとんど症状がみられません。40歳以上で一度でも便に血がついたことのある人は、必ず医師に診てもらい検査を受けてください。特に血縁者に大腸がんになった人がいる場合は必ず検査を受ける必要があります。大腸がんは進行しないと、多くの場合は症状がありませんので注意が必要です。
コールタールのような黒い便が出る場合は、胃・十二指腸潰瘍などによる上部消化管からの出血が疑われます。赤い便が出たときは腸など下部消化管に、黒い便が出たときは胃・十二指腸など上部消化管に原因があります。
血便や下血は重篤な病気のことが多く、医師の診察を受けることが必要です。血圧が下がって冷や汗が出たり、手足が冷たくなったり、めまいがしたりした場合は、絶対安静が必要です。出血がひどいときはショック状態になって、生命の危険すら招くことがあります。
・感染性大腸炎 ・偽膜性大腸炎 ・潰瘍性大腸炎 ・クローン病 ・虚血性大腸炎 ・大腸憩室出血 ・大腸ポリープ ・大腸がん ・痔核 ・メッケル憩室 ・腸重積症 ・上部消化管出血 |
下血はすべての消化管出血によって起こりうる。黒色便は、右側結腸よりも口側からの出血でみられ、赤色便は、左側結腸より肛門側でみられる |
中高年者で、数日間便秘が続き、急に下血と腹痛が起こった場合、虚血性大腸炎が疑われます。腸管の内圧の上昇が引き金になり、腸管の血行が悪くなって起こるのです。軽症では一過性のため数日間のうちに自然に改善するものが多く、治療の必要がないこともあります。腹痛が強いようなら、医師の診察を受け、鎮痛薬や鎮痙薬(ちんけいやく)を処方してもらいます。発熱があったり血液中の炎症所見が強ければ、入院して抗菌薬や輸液が必要となります。
潰瘍性大腸炎の場合は、反復する下痢と血便が特徴で、ケチャップのような便が出ます。左の下腹部痛を伴うことがあります。クローン病では反復する腹痛がおもな症状で、まっ赤な血便は多くありません。潰瘍性大腸炎もクローン病も、若い人に多い病気です。
糞便のまわりに血液が少量付着しているときは、大腸や直腸のがんやポリープが疑われます。特にがんやポリープの場合は、初期は下血以外にほとんど症状がみられません。40歳以上で一度でも便に血がついたことのある人は、必ず医師に診てもらい検査を受けてください。特に血縁者に大腸がんになった人がいる場合は必ず検査を受ける必要があります。大腸がんは進行しないと、多くの場合は症状がありませんので注意が必要です。
コールタールのような黒い便が出る場合は、胃・十二指腸潰瘍などによる上部消化管からの出血が疑われます。赤い便が出たときは腸など下部消化管に、黒い便が出たときは胃・十二指腸など上部消化管に原因があります。
血便や下血は重篤な病気のことが多く、医師の診察を受けることが必要です。血圧が下がって冷や汗が出たり、手足が冷たくなったり、めまいがしたりした場合は、絶対安静が必要です。出血がひどいときはショック状態になって、生命の危険すら招くことがあります。
(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)