吐血〔とけつ〕 家庭の医学

 血を吐いた場合、喀血(かっけつ:肺や気管支からの出血)か、吐血(食道・胃・十二指腸など消化管からの出血)かを確かめなければなりません。鼻血がたくさん出て、それを飲み込んで血を吐き、吐血とまちがわれることもあります。
 吐血は生命の危険を伴うことがあり、できるだけ早く医師に診てもらい、検査や処置を受ける必要があります。医師は内視鏡検査で出血した場所や程度、さらに出血が持続しているかどうかを確かめて診断します。出血している場合はその場で内視鏡的に止血します。
 吐血の原因には、食道炎、食道がん肝硬変に伴う胃・食道静脈瘤(りゅう)の破裂、出血性胃炎、胃・十二指腸潰瘍胃がんなどがあります。特に出血量が多いのは、食道静脈瘤の破裂、胃・十二指腸潰瘍、マロリー・ワイス症候群(大量の飲酒後、嘔吐に伴って胃と食道との境目が裂けて出血)などによる出血です。

●吐血の原因疾患
・食道がん   ・食道静脈瘤   ・マロリー・ワイス症候群   
・胃潰瘍    ・十二指腸潰瘍  ・急性胃粘膜病変   ・胃がん
吐血は、上部の消化管出血によって起こることが多い。原因としては、胃・十二指腸潰瘍や急性胃粘膜病変が多い。吐血の性状は、胃酸にさらされる時間が長いほど、鮮血→黒褐色→コーヒー残渣様と変化する


 鎮痛薬や頭痛薬は、胃の粘膜を荒らすため、薬も吐血の原因となることがあります。
 吐いた血がコーヒー残渣様(ざんさよう)の色をしているときは、急性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を疑い、新鮮な血が大量に出てくるようなら肝硬変などを原因とする胃・食道静脈瘤の破裂を疑います。

■養生法
 絶対安静が必要です。絶食にしますが、冷たい水を飲むとよいです。冷やすことにより血管が収縮して、出血がとまりやすくなります。また、みぞおちに氷嚢などを当てて冷やすとよいでしょう。内視鏡検査に備えて、できるだけからだの右側を下に横臥(おうが:からだを横にすること)します。
 いずれにしろ、緊急に入院して治療を受けることが必要です。

(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)