バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症〔ばんこまいしんたいせいちょうきゅうきん(ぶいあーるいー)かんせんしょう〕

 腸球菌は動物の腸管に常在するグラム陽性のレンサ球菌です。そのうち、エンテロコッカス・フェカーリスにはアンピシリンという抗菌薬が有効です。
 エンテロコッカス・フェシウムはアンピシリン耐性でバンコマイシンが有効で使用されてきましたが、バンコマイシン耐性菌があらわれてきました。日和見(ひよりみ)感染症の起因菌で、健康な人には無害ですが、免疫不全状態にある患者には術後感染症や敗血症などの原因菌となります。日本ではさいわいなことにVRE(vancomycin resistant enterococci)を保菌している人は少なく、重症感染症の報告はほとんどありませんが、海外の医療機関で治療を受けたことのある人などでは保菌しているリスクがあるので注意が必要です。VREに対しては、ダプトマイシン、リネゾリドなどが有効です。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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