流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)〔りゅうこうせいじかせんえん(おたふくかぜ)〕 家庭の医学

 ムンプスウイルスの感染により耳下腺をはじめとする唾液腺がはれる感染症です。
 感染経路は飛沫(ひまつ)感染で、潜伏期は2~3週間です。両側または片側の耳下腺がはれ、ものをかむときに痛みをうったえることが多く、このとき数日の発熱を伴います。耳下腺がはれると痛み、境界が不鮮明なやわらかい腫脹(はれ)が耳たぶの斜め前の下部を中心としてみとめられます。顎下腺(がっかせん)などほかの唾液腺がはれることもあります。
 合併症としては、無菌性髄膜炎、脳炎、膵(すい)炎、難聴などがあり、そのほか成人男性では精巣炎、成人女子では卵巣炎がみられることがあります。難聴は多くは片側性ですが、時に両側性のこともあり、発症すると回復しないので重大です。
 特別な治療法はなく、弱毒生ワクチン(おたふくかぜワクチン)による予防がもっとも重要です。現在国内では定期接種ではなく任意接種のかたちで接種がおこなわれているので、接種率は低く、流行性耳下腺炎の発生はコントロールされていません。

【参照】子どもの病気:流行性耳下腺炎

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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