侵襲性肺炎球菌感染症〔しんしゅうせいはいえんきゅうきんかんせんしょう〕

 肺炎球菌は上気道の常在菌で、しばしば肺炎球菌感染症や中耳炎の原因となりますが、組織侵入性が強いため、血液や髄液に侵入して菌血(きんけつ)症・敗血症髄膜炎、菌血症を伴う肺炎などの侵襲性肺炎球菌感染症をひき起こします。小児と高齢者に多く、小児では菌血症や髄膜炎、高齢者では菌血症を伴う肺炎の頻度が高くなります。
 治療にはペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系などの抗菌薬が有効です。
 予防には肺炎球菌ワクチンの接種が有効で、現在、小児に対しては結合型肺炎球菌ワクチンの定期接種がおこなわれ、小児の侵襲性肺炎球菌感染症は著明に減少しつつあります。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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