医師の紹介
診療内容
医師が患者へがん告知する際の環境や態度を細かくまとめた「悪いニュースを伝える時の手順」の制作にも携わり、コミュニケーション技術教育のカリキュラムを開発、日本サイコオンコロジー(精神腫瘍学)学会を通じ、がん診療医を対象にロールプレーイング(役割実演)を行い、さまざまなノウハウを伝授してきた。その活動は国際的な評価を得、1996年 国際サイコオンコロジー学会から若手研究者賞、2006年Bernard Fox 記念賞を受けた。
同院へ赴任後は、緩和ケアチームと協力し、がんと診断された段階から患者の心を支える「つらさサポートチーム(仮称)」の立ち上げを目指してきた。内富医師のチームが治療に取り入れている「つらさと支障の寒暖計」の開発も、その活動の一環と言えるだろう。がん患者のうつ病や適応障害の発症を早期発見するための質問票。目盛りを刻んだ寒暖計の図を患者に示し、最近一週間の気持ちを、「最高につらい」(10)「-つらさはない」(0)でマークする。さらに、日常生活に支障があるかどうかを、最高に支障がある(10)-支障はない(0)で答えてもらう。
つらさと支障のいずれもが一定の点数を超えていた場合、臨床的にうつ病や適応障害と診断される確率が高まることが実証された。精神保健の専門職でなくてもベッドサイドで簡単に検査できるものとして活用されている。内富医師が重視してきたのは心の三要素(知情意=知性・感情・意志)の中でも「情」だ。
「『説明と同意』と訳された日本のインフォームドコンセントには、『情』がすっぽり抜け落ちていたのです。まだまだ過大は山積みですが、医療も少しずつ患者さんの心の痛みに向き合う努力を始めています」と想いを語る。
「精神腫瘍学」こそ、まさに患者とその家族の心を支える「情」に根ざした医療。内富医師はその先駆者として、また最も実力ある専門医として、深い使命感のもと今日も患者の心を見つめている。
岡山大学病院精神科神経科の外来では、教授の専門のがんなどの身体の病気を抱えた患者・家族の方のメンタルヘルス活動(リエゾン)などの専門外来の他に、うつ病、認知症、統合失調症、性同一性障害などの精密な包括鑑別診断を含む高度な診療が行われている。また、入院は、全室個室で28床のベッドを有し、精神療法・薬物治療・各種検査が行われている。総合病院という特性を生かし、詳細な鑑別診断と他科との密な連携医療を実現。複数の専門家医師によるカンファレンス等チーム体制で対応しながら、最先端・最適な医療を提供している。
2015年1月に発足した、国立がん研究センター中央病院支持療法開発センターのセンター長として内富医師は、多施設共同研究の日本がん支持療法研究グループ(J-SUPPORT)も設立し、緩和ケア・精神心理的ケア・リハビリテーション・栄養療法などの専門家と連携し、臨床研究の実施と新たなエビデンスの創出を目指している。
医師プロフィール
1988年8月 国立呉病院・中国地方がんセンター精神科医員
1991年3-5月 厚生省HIV留学制度により米国スロンケタリングがんセンタ-記念病院精神科研修
1994年12月 広島大学医学部神経精神医学教室講師
1995年9月 国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部室長
1996年4月 同 部長
2005年10月 国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部長
2010年4月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学教室教授
2015年1月 国立がん研究センター中央病院精神科神経科 支持療法開発センター長
2016年1月 国立がん研究センター中央病院 支持療法開発部門 部門長
「うつ病」を専門とする医師
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石郷岡純 医師 (いしごうおかじゅん)
石郷岡病院
精神科 理事長
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稲田泰之 医師 (いなだやすし)
医療法人悠仁会 稲田クリニック
心療内科 院長
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加藤正 医師 (かとうただし)
あらたま こころのクリニック
院長
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上島国利 医師 (かみじまくにとし)
三恵病院
精神科
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粥川裕平 医師 (かゆかわゆうへい)
かゆかわクリニック
精神科・睡眠科 院長
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神庭重信 医師 (かんばしげのぶ)
九州大学病院
精神科神経科 教授
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木村真人 医師 (きむらまひと)
日本医科大学千葉北総病院
メンタルヘルス科 部長、教授
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功刀浩 医師 (くぬぎひろし)
国立精神・神経医療研究センター病院
精神科 神経研究所 疾病研究第三部 部長 気分障害先端治療センター長
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古賀良彦 医師 (こがよしひこ)
メンタルクリニックいわお
精神科・内科 杏林大学名誉教授
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清水栄司 医師 (しみずえいじ)
千葉大学医学部附属病院
認知行動療法センター センター長
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高木洲一郎 医師 (たかぎしゅういちろう)
自由が丘高木クリニック
心療内科 院長
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唐渡雅行 医師 (とわたりまさゆき)
とわたり内科・心療内科
精神科・心療内科 院長
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中村敬 医師 (なかむらけい)
東京慈恵会医科大学附属第三病院
精神神経科 病院長 診療医長、森田療法センター長
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中村純 医師 (なかむらじゅん)
北九州古賀病院
精神科 院長
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三村將 医師 (みむらまさる)
慶應義塾大学病院
精神・神経科 教授
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山本晴義 医師 (やまもとはるよし)
労働者健康安全機構 横浜労災病院
勤労者メンタルヘルスセンター センター長
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渡邊衡一郎 医師 (わたなべこういちろう)
杏林大学医学部付属病院
精神神経科 教授
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渡部芳徳 医師 (わたなべよしのり)
市ヶ谷ひもろぎクリニック
内科、泌尿器科、心療内科、精神科 ひもろぎグループ理事長