木村真人 医師 (きむらまひと)

日本医科大学千葉北総病院

千葉県印西市鎌苅1715

  • メンタルヘルス科
  • 部長、教授

心療内科 精神科

専門

うつ病、認知症、不安障害

木村真人

うつ病などの気分障害、とくに高齢者のうつ病や脳卒中後うつ病を含めた血管性うつ病の研究と治療に詳しいこの分野のプロフェッショナル。難治性のうつ病に対してのパルス波治療器(サイマトロン)を用いた無けいれん性通電療法や光トポグラフィー検査を用いた新しいうつ症状の鑑別診断補助など最新の技術を取り入れ、高い治療成績をあげている。また同院は日本老年精神医学会から「こころと認知症を診断できる病院」に認定されており、認知症専門診断も積極的におこなっている。

診療内容

「うつ病は近年、病名自体はかなり知られるようになりましたが、どんな病気かということについては理解が進んでいるとは言えません」そう語るのは、精神科医としてこれまで多くのうつ病患者を診てきた木村医師。とくに高齢者のうつ病に詳しい。
「高齢者は、いろいろなものを喪失する機会が増えてきます。たとえば定年退職による社会的立場の喪失、老化による健康不安もそうでしょう、さらに大事な人や友人を失うことによる喪失感や人間関係の希薄化もあります。ところが、多くの場合はそれが当たり前とされ、高齢者の気持ちが落ち込んだとしても、周囲も気にしないで病状を見逃してしまうことがあるのです」(木村医師)
しかし、実はすでに治療をしなければならない状態になっていることも少なくないと木村医師は言う。また、高齢者の場合は精神症状が目立たずに、体のあちこちが痛んだり、動悸やめまいがするといった身体症状を中心に訴えるケースも多いため、診断が難しくなることもあるのだという。そこで同院が取り入れているのが、光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助である。
「これまでの問診だけの診断では医師の経験によってばらつきが出るため、新しい検査法として光トポグラフィー検査が登場しました。これは頭に近赤外線を当てて血液量の変化から脳の働きを調べる検査装置です。この装置を使用することで、うつ病とよく似た症状がある双極性障害(そううつ病)や統合失調症を見分けることができるとされています」(木村医師)
現在(2012年11月)紹介状がない場合での予約申し込みは中止されているが、うつ病検査の有効な手段として期待されている。ところで、うつ病は他の病気と併発して起こることが多いと木村医師は言う。
「たとえば高齢者のうつ病では、認知障害をともなうケースも多く、認知症外来を受診する人の5人に1人はうつ病と言われています。さらに脳卒中を起こしたあとに、うつ病にかかることも多いです。脳卒中患者の約4割の人にうつ状態があらわれ、適切な治療をすることで認知機能や身体機能の回復、生存率まで改善すると言われています。そしてもうひとつ、うつ病には再発という問題もあります。うつ病は再発しやすい病気であり、実に50~75%の患者さんが5年以内に再発するという報告があるほどです」だからこそ、きちんとした治療をおこなって、再発しないように注意することが重要だと、木村医師は訴える。
「治療は薬物療法と精神療法が中心ですが、効果が見られない場合にはパルス波治療器(サイマトロン)を用いた無けいれん性通電療法(m-ECT)をおこなって、高い治療成績をあげています」(木村医師)
高齢化が進む我が国では、これからさらに認知症やうつ病を患う人が増えるだろうと言われている。しかし、そのことを悲観的にとらえても仕方がなく、前向きに考えていくことが大切だと木村医師は語る「うつ病や認知症を怖い病気だと思うのではなく、地域全体で支え合えていけるようなネットワークをつくることができれば、高齢者も安心して暮らしていける町になるのではないでしょうか。これからの時代、そういった町づくりを進めていく必要があります」
これからさらに進んでいく高齢化社会を見据えた町づくりや地域でサポートするネットワーク構想に、新しい医療のあり方を垣間見たような気がする。

医師プロフィール

1984年3月 日本医科大学 卒業
1991年12月 医学博士
1992年10月 日本医科大学精神医学教室講師
1999年7月 アメリカ、アイオワ大学精神科に留学
2001年10月 日本医科大学精神医学教室助教授
2003年5月 日本医科大学付属千葉北総病院メンタルヘルス科部長
2010年10月 日本医科大学付属千葉北総病院 教授

「うつ病」を専門とする医師