腹がふくれる

 腹壁ヘルニアでは、腹壁の一部から腹膜が嚢状(のうじょう)にふくれ、その中に腹腔の内臓が出てきます。患者を寝かせると、はれがひきます。立ったときに下腹部がふくれ、寝かせると小さくなる場合は、内臓から発生する腫瘤(りゅう)の可能性があり、寝かせると、下腹部にこぶし様のかたまりが触れます。

 腹に水がたまると、腹がふくらんで見えます。この腹水は、心臓、腎臓、肝臓の病気でみられます。
 心臓のポンプ作用がおとろえると心不全になり、肝臓がはれ、腹水もたまります。弁膜症や心筋疾患のほか、収縮性心膜炎で心臓に血液が戻るのをさまたげられているような状態でも、肝臓や脾臓がはれて腹水がたまります。
 腎臓病のネフローゼ症候群では、尿にたんぱく質が漏れ出し、腹水がいちじるしくたまります。むくみ以外の症状はあまりなく、むくみがひどくなってはじめて気づかれる場合も少なくありません。
 肝硬変で、門脈の圧が高いときも腹水が生じます。横向きに寝ると腹の中の水が横に移動し、その部分がふくれますが、腹水が多くなると水が移動できなくなり、横になってもかたちが変わりません。

 腸のガスが多くなり腹がふくれることがあります。軽くたたくとポンポンと鼓のような音がし、鼓腸と呼ばれます。習慣性便秘があり、便通をととのえておさまるなら心配不要です。急に起こって激しい腹痛を伴うときは、急性腹膜炎、腸閉塞(イレウス)、食中毒などが疑われます。

■腹がふくれる
症状病名そのほかの症状など
腹が嚢状にふくれる腹壁ヘルニア寝るとひっこむ
卵巣嚢腫下腹部のしこり、片側性、寝るとひっこむ
妊娠下肢のむくみ、月経がない
腹水がたまる心不全血たん、疲れやすい、むくみ、食欲がない、息切れ、冷え
収縮性心膜炎脈が速い、下肢のむくみ、息切れ
ネフローゼ症候群全身のむくみ、尿が泡立つ、体重増加
慢性腎臓病むくみ、倦怠感、尿が少ない、食欲がない
肝硬変黄疸、出血傾向、息切れ、吐血、食欲不振、疲れ
がん性腹膜炎腹がはる
腸にガスがたまる便秘くり返す、下腹部痛
急性腹膜炎発熱、腹痛、吐き気・嘔吐、便秘、腹壁の緊張
腸閉塞(イレウス)下腹部痛、腹がはる、便秘、吐き気・嘔吐、冷や汗
食中毒腹痛、嘔吐、下痢
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