目がはれる、赤い 家庭の医学

 目がはれたり赤くなるのは、目に異物が入ったり、突いたりしたとき、目がしらに麦粒腫(ばくりゅうしゅ:ものもらい)が生じたときですが、目がしらの皮膚が赤くはれて痛みが強く、時に発熱するのは涙?(るいのう)炎です。まぶたや結膜がはれて充血し、ひとみの奥が黄色く見え、くろめが曇るのは全眼球炎で、失明にいたります。
 発熱や過労のあとに、角膜に小さな水疱(すいほう:水ぶくれ)ができ、それが破れて潰瘍になるのは角膜ヘルペスです。涙がたくさん出て、再発をくり返します。治療後も白斑が残ると、視力は著明に低下します。
 急にしろめがまっ赤になった場合、単に結膜下出血であれば心配いりません。
 赤くて目やにが出れば、たいていは結膜炎です。多いのは花粉によるアレルギー性結膜炎で、目のかゆみ、くしゃみ、鼻汁などを伴います。細菌性結膜炎では、結膜は充血出血し、目ぼし(角膜フリクテン:角膜に白くて小さなぶつぶつができる病気)ができ、粘液膿性(のうせい)の目やにが出ます。目やにが黄色膿性で、固まらずにたえまなく分泌されるのは、淋菌(りんきん)性結膜炎です。目やには少ないが、涙が多く、まぶたの裏に白い膜がかかり、ブツブツ(濾胞〈ろほう〉)ができる場合は流行性角結膜炎です。まぶたの裏側の結膜面に灰白色の膜がかかり、ここから出血しやすい場合には、偽膜性結膜炎、春季カタルが考えられます。裏まぶたに透明な水泡状の粒ができるものに濾胞性結膜炎があります。

■目がはれる、赤い
症状病名そのほかの症状など
目がはれる、痛む眼球内異物充血、流涙、異物感
匐行性角膜潰瘍急な眼痛、充血、流涙
麦粒腫(ものもらい)まぶたがはれる、圧痛
内麦粒腫まぶたが赤くはれる、激しい痛み、目の充血
霰粒腫徐々に大きくなるまぶたのはれ
涙?炎涙?部のはれ、痛み、目がしらの発赤
角膜ヘルペス片側の顔面の痛み
目が赤い、目やにアレルギー性結膜炎かゆみ、異物感、花粉症
結膜下出血突然目の赤みに気づく
細菌性結膜炎
淋菌性結膜炎目の充血
流行性角結膜炎流涙が多い、耳前リンパ節の痛み
咽頭結膜熱(プール熱)発熱、のどの痛み
急性出血性結膜炎急に目が痛み異物感
春季カタルかゆみ、異物感が春夏に増悪する
濾胞性結膜炎両眼の充血、まぶたのはれ、目やにが多い


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹