腹部全体の痛み

 場所がはっきりしない、あるいは移動するものを含め、腹部全体が痛む原因で多いのは急性胃腸炎です。食欲がなく、吐いたり下痢したりすることが多いですが、細菌性食中毒のときには発熱を伴い、嘔吐(おうと)や下痢の症状が激烈です。
 腹部外傷や、腹部大動脈瘤(りゅう)の破裂では、激しい腹痛とショックを伴います。便通がなくガスも出ず、腹が鳴って痛み、腹がふくれ、嘔吐(おうと)が始まればイレウス(腸閉塞)を疑います。最初は左右の下腹部や上腹部の痛みで、ある時期を境に腹部全体が痛み、腹がはって嘔吐し、熱が出たら急性腹膜炎が疑われます。いずれも、すぐに医療機関を受診すべきです。
 鈍痛や重苦しい感じがあり、腹が徐々にふくれてはる場合は、肝硬変や、がん性の腹膜炎などによる腹水の可能性があります。腎臓や各種臓器の下垂症では、起立時に痛みを生じます。紫斑(しはん)病や回虫症でも、腹痛発作を起こすことがあります。

■腹部全体の痛み
症状病名そのほかの症状など
下痢を伴う急性胃腸炎嘔吐、発熱
食中毒嘔吐
赤痢下腹部痛、粘血便、吐き気・嘔吐
腹部の激痛腹部外傷内臓損傷
腹部大動脈瘤破裂高血圧の既往、腹部の拍動性腫瘤、ショック
腸閉塞(イレウス)排便なし、嘔吐
腹がはる急性腹膜炎発熱、吐き気・嘔吐、便秘、腹壁の緊張
肝硬変黄疸、腹水、出血傾向、息切れ、吐血、食欲不振、疲れ
膵がん黄疸、やせ、食欲不振、便通異常、上腹部のしこり
がん性腹膜炎腹水
発作性の腹痛紫斑病歯ぐきの出血、鼻出血、皮下出血
回虫症不衛生な食品、海外旅行後