肛門の異常
肛門のまわりが、病気でもないのに、むやみにかゆいことがあります。肛門掻痒(そうよう)症といい、中高年の女性に多く、卵巣機能の異常と関係があるといわれています。夜中にひどくなることがあります。子どもの蟯虫(ぎょうちゅう)症でも肛門周囲がかゆくなり、不眠になります。
肛門内外に、指の腹のようなやわらかいこぶができる痔核(じかく:いぼ痔)は、少量の出血を伴うことがありますが、出血がとまらないと貧血を起こす場合もあり、注意が必要です。肛門の内外に孔(あな)があいてジクジクうみの出る痔瘻(じろう)は、自然には治りにくく、進行すると肛門のはたらきがそこなわれるため、治療を急ぎます。
肛門の周囲に切り傷ができて痛む裂肛(れっこう:切れ痔)では、痔核や直腸がんとともに、排便時に鮮血がみられます。鮮血に粘液のまじっているようなときは、赤痢や潰瘍性大腸炎が考えられるほか、抗菌薬投与の副作用による偽膜性腸炎があります。
肛門付近にうみがたまり、高熱が出て強い痛みのある肛門周囲膿瘍では、手術を考慮すべきです。そのほかに、肛門や直腸の粘膜が肛門の外にはみ出してくる脱肛、血便があり痔とまちがえられる直腸がんなどがあります。
肛門の奥のほうに違和感がある場合は、直腸がんや大腸ポリポーシス、子宮脱などの可能性があります。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)
肛門内外に、指の腹のようなやわらかいこぶができる痔核(じかく:いぼ痔)は、少量の出血を伴うことがありますが、出血がとまらないと貧血を起こす場合もあり、注意が必要です。肛門の内外に孔(あな)があいてジクジクうみの出る痔瘻(じろう)は、自然には治りにくく、進行すると肛門のはたらきがそこなわれるため、治療を急ぎます。
肛門の周囲に切り傷ができて痛む裂肛(れっこう:切れ痔)では、痔核や直腸がんとともに、排便時に鮮血がみられます。鮮血に粘液のまじっているようなときは、赤痢や潰瘍性大腸炎が考えられるほか、抗菌薬投与の副作用による偽膜性腸炎があります。
肛門付近にうみがたまり、高熱が出て強い痛みのある肛門周囲膿瘍では、手術を考慮すべきです。そのほかに、肛門や直腸の粘膜が肛門の外にはみ出してくる脱肛、血便があり痔とまちがえられる直腸がんなどがあります。
肛門の奥のほうに違和感がある場合は、直腸がんや大腸ポリポーシス、子宮脱などの可能性があります。
症状 | 病名 | そのほかの症状など |
---|---|---|
肛門のかゆみ | 肛門掻痒症 | 洗いすぎや便による皮膚の刺激 |
蟯虫症 | 子ども | |
肛門内外のこぶ | 痔核(いぼ痔) | 腫脹、痛み、出血 |
肛門内外の孔・うみ | 痔瘻 | くり返す腫脹、小出血 |
肛門周囲の切り傷 | 裂肛(切れ痔) | 痛み、出血 |
肛門周囲のうみ | 肛門周囲膿瘍 | 圧痛を伴うしこり |
粘膜のはみ出し | 脱肛 | 腹圧をかけると出る |
肛門の違和感 | 直腸がん | 血便、下腹部のしこり、便秘 |
大腸ポリポーシス | やせ | |
子宮脱 | 腹圧をかけると出る |
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)