月経・帯下の異常 家庭の医学

 月経が3カ月以上ない場合、妊娠や閉経のほか、食欲不振症、精神的なショックが原因のことがあります。病気としては、内分泌腺やホルモンの異常が多く、糖尿病、血液の病気、尿毒症などでも起こります。
 量が少ない、周期が長いということもあります。子宮の異常や感染症、妊娠中絶手術後、内分泌異常などから起こりますが、40歳代後半以降では、生理的とみなすことができます。
 逆に量が多く、持続期間も長い場合、子宮筋腫や外性子宮内膜症などの病気や、内分泌の異常が原因となります。子宮筋腫は、子宮の筋組織に生じた良性腫瘍で、過多月経と月経困難がおもな症状です。子宮内膜症は、子宮内膜組織が卵管、卵巣、子宮後壁などに発生し、月経のたびに出血しつつかたい腫瘤(りゅう)を形成しながら進行します。

 帯下(おりもの)は、子宮頸部(けいぶ)の粘膜、腟(ちつ)粘膜、腟口のバルトリン腺から分泌されるさまざまな液がまじったもので、正常な場合には白色乳様です。それが黄色味をおび、粘液性で血がまじるようなことがあれば子宮頸管炎、うみのような分泌液になれば淋菌(りんきん)性腟炎、外陰にかゆみがあり黄白色の帯下ならば、トリコモナス腟炎、カンジダ腟炎、またはクラミジア感染症が疑われます。これらはいずれも性感染症で、性行為によって感染するため、パートナーも治療しなければ完治しません。
 帯下が赤味を帯びたとき、独特の悪臭を伴ったときは、子宮頸がんや子宮体がんが疑われます。

■月経、帯下の異常
症状病名そのほかの症状など
月経がない、少ない妊娠下肢のむくみ、腹部膨隆
閉経早ければ40歳代半ば
内分泌異常慢性の便秘、恥毛の消失、むくみ
月経過多、月経困難内分泌異常慢性の便秘、恥毛の消失、むくみ
子宮筋腫貧血、下腹部のしこり
子宮内膜症月経の周期で痛みが変化、下腹部圧痛
帯下の異常子宮頸管炎おりものがふえる、下腹部の痛み
性器淋菌感染症黄緑色のおりもの
トリコモナス腟炎悪臭を伴う黄色い泡状のおりもの、陰部のかゆみ
カンジダ腟炎ヨーグルト状のおりもの、陰部のかゆみ
クラミジア感染症性交の相手が尿道炎、おりものの増加
子宮頸がん不正出血、比較的若い女性
子宮体がん閉経後の不正出血


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹