アメーバ赤痢〔あめーばせきり〕

 原虫の仲間の赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の感染により起こる疾患で、下痢・血便などの消化器症状をおもな症状とする腸管アメーバ症と、それ以外の臓器にも病変を形成する腸管外アメーバ症に大別されます。血液のまじった下痢便を赤痢といいます。赤痢を起こす病原微生物は、赤痢菌と呼ばれる細菌と原虫であるアメーバとの2種類があります。
 腸管アメーバ症は、赤痢アメーバに汚染された飲食物を摂取することにより起こり、症状は、血液のまじった頻回の下痢および腹痛です。
 腸管外アメーバ症の場合、多くは腸管部よりアメーバが血行性に転移することで起こり、肝膿瘍(のうよう)がもっとも高頻度にみられます。この場合は赤痢症状を示さず、腹膜炎胸膜炎の症状で発症し、重症となる人が数多くみられます。
 また、同性間の性的接触による感染がみられます。
 開発途上国を旅行した場合には、生水や生ものの摂取には十分に注意をはらってください。

【参照】寄生虫病:赤痢アメーバ症

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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