水痘(みずぼうそう)〔すいとう(みずぼうそう)〕

 水痘(みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスの初感染による感染症で、このうち24時間以上入院となった症例が、全数報告の5類感染症として届出の対象となっています。これは、水痘のうち入院が必要となるような重症例の発生動向を、国がきちんと把握するための手段として取り入れられました。
 冬から春に好発する感染症ですが、年間を通じて発生がみられます。飛沫(ひまつ)、飛沫核、接触などで感染し、潜伏期は2~3週間です。免疫がなければいずれの年齢でも罹患する可能性があります。また、成人でみられる帯状疱疹も同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因なので、帯状疱疹の成人から小児が感染して、水痘を発症することもあります。免疫不全者や新生児が感染すると重症化するため、院内感染対策上重要な疾患です。
 症状は発熱と発疹(ほっしん)です。それぞれの発疹は紅斑(こうはん)、紅色丘疹(きゅうしん)、水疱形成、痂皮(かひ:かさぶた)化へと約3日の経過で変化していきますが、同一段階の皮疹(ひしん)が同時に全身に出現するのではなく、新旧種々の段階の発疹が同時に混在するのが特徴です。
 水痘の発疹は、紅斑、紅色丘疹、水疱形成、痂皮というさまざまな段階の発疹が混在することが特徴です。発疹は、からだのさまざまな部分に出現するので、発疹を探す際には、髪の毛の生えぎわ、下着に隠された部分なども含めて、全身をよく見る必要があります。

 治療には抗ウイルス薬のアシクロビル、バラシクロビルが有効です。
 予防には弱毒生ワクチンである水痘ワクチンの接種が有効で、国内でも2014年10月より1歳から3歳未満の小児を対象として2回の定期接種がおこなわれるようになり、小児の水痘患者は著明に減少しています。

【参照】子どもの病気:水痘

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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