土屋明弘 医師 (つちやあきひろ)

船橋整形外科病院

千葉県船橋市飯山満町1-833

  • 副院長

整形外科 外科

専門

膝関節、足関節、股関節疾患の治療を専門とし、とくに膝関節の関節鏡視下手術を得意とする。

土屋明弘

土屋明弘医師は、膝関節、足関節、股関節疾患治療のスペシャリストで、関節鏡視下手術は通算5,000例を超える。年間200~300例の関節鏡視下手術を行う。ハーバード大学に留学しスポーツ医学、関節鏡視下手術の研究に取り組み、帰国後、オリジナルな手術法として股関節の関節鏡視下修復術、膝関節では外側支持機構再建術、足関節では距骨離断性骨軟骨炎に対する関節鏡視下骨接合術を行い、世界で初めて報告した。現在、船橋整形外科病院副院長であり、スポーツ医学・関節センターの下肢スポーツグループを率いている。2004年から5年間、Jリーグ 柏レイソルのチームドクターを務め、 現日本スケート連盟医事委員会選手強化部会員として 選手の障害治療とその予防に努めている。2009年より日本スケート連盟の強化部員となりソチオリンピックでのフィギュアスケート村外合宿の日本チーム帯同ドクター、また年よりラグビートップリーグNTTComのチーフチームドクターなどを務めている。

診療内容

同院スポーツ医学・関節は、同院にて行ってきた一般整形外科・リハビリテーション、スポーツリハビリテーションをさらに発展させ、膝関節・肩関節を中心に関節鏡を用いた低侵襲手術による専門的医療を提供することを目的として、平成14年4月に設立された。同センターではスポーツ選手だけでなく膝関節・足関節や肩関節・肘関節に障害をかかえる一般の人々も多く来院し、治療はプロスポーツレベルから一般の方の日常生活レベルまで、それぞれの希望に沿った診療、リハビリテーションを、専門医がその知識と技術を駆使して対応している。土屋医師は現在副院長であるがスポーツ医学・関節の全体を掌握しながら、自身は膝関節、足関節、股関節を専門に診ている。再来も含めると変形性膝関節症の患者が約半数を占めるという土屋医師。
「現在、日本における変形性膝関節症の患者は2,430万人、痛みなどの症状のある患者は800万人と推定されています。誰でもなる可能性のある身近な病気といえます」(土屋医師)。膝には歩いているだけでも体重の3倍の負荷がかかるうえに、体のすべての関節の中で一番可動性が高いので痛みが出やすい部位だという。診療では痛みの原因について問診で詳しく聞くことから始め、押して痛いところ、膝の動き、腫れ、ゆるみなどを診察してレントゲンを撮り、場合によってはMRIによって半月板や軟骨の状態を診断する。
変形性膝関節症は膝の骨を覆っていて膝にかかる衝撃を吸収する役割を果たしている軟骨や半月板が傷ついたり、すり減ったりして炎症を起こし、動いたときに痛みが出る。進行すると骨がむき出しになり、骨と骨がぶつかって痛くて歩けなくなることもある。
この疾患には女性やO脚の人がなりやすく、太っていて膝への負担が大きい人もなりやすい。年齢とともに軟骨のクッション性が徐々に失われるため高齢者にも多く、40歳代から徐々に増え始め、60歳代の女性の約40%、70歳代の女性の約70%がこの病気にかかっていると言われている。
変形性膝関節症の治療は痛みをとることトレーニングで進行を予防することの二本立てで行われる。痛み止めの薬の服用やヒアルロン酸を注射することで痛みを取り、関節がなめらかに動くようにしながら、筋力トレーニングで関節への負担を軽減する。変形が進んでいれば手術の適応となるが、土屋医師は「患者が一番困っている部分を治すことを重視します。逆にMRIで異常が見られてもその部分の症状がなければ、とくに治療はしませんし、必要はないと思います」と言う。
手術は日帰りが可能な関節鏡を用いた侵襲の少ない「関節鏡視下手術」を行う。膝に内視鏡(小さな高性能カメラ付きの光ファイバー)を入れるための2~3箇所の小さな穴を開け、損傷部位をテレビモニターに拡大して映し出して細かく観察しながら手術を行う。手術そのものは1時間程度で終わる。
手術後は筋力を高めるトレーニングを行うが、同院には約100名の理学療法士がおり、患者に合わせたリハビリを行っている。3~6週間のトレーニングでかなり違いが出てきて、ストレッチだけでも効果が出るという。同時に体重指導も行っている。「減量する場合、運動せずに食事だけ減らすのは間違いで、食事だけで体重を減らすと筋肉が脂肪に変わって基礎代謝が落ちてしまい、結局リバウンドしてしまいす」と土屋医師。運動によってしっかりした筋肉をつけることが先決で、とくに自分の体重を支える大きな筋肉を使うウォーキングがお勧めである。
「膝が痛いと思ったら我慢しないで整形外科を受診して下さい。整形外科にいくとすぐに“手術をされる”というイメージがあるかもしれませんが、変形性膝関節症になっても早い時期に受診してきちんと治療やトレーニングを受けて上手にコントロールしていけば、手術をしなくても痛みをとり進行を防いで、今まで通りスポーツも続けることもできます」
痛みがあるのに無理に歩いて転倒・骨折などをして要介護の大きな原因になることもあるので、症状が悪化する前に受診することが大事と土屋医師は話す。
土屋医師が得意とする関節鏡視下手術は安全でかつ高度な手術であり、従来の手術法(関節鏡を使用しない)と比較すると、体液成分に近いリンゲル液を流しながら行うので感染症を起こしにくく、正常組織を傷つけにくいほか、痛みが少ないなどのメリットもある。また、術後の回復が早く、残る傷跡も非常に小さく目立たないなど多数の利点があるため、同院では膝関節、足関節、脱臼節、肩関節、肘関節などの手術にも積極的に使用している。
膝関節でその他にスポーツ障害などで起こる半月板損傷がある。半月板は大腿骨と脛骨の間にあってクッションの役割を担っているが、スポーツや外傷などで膝を捻ったりして強い外力が加わって断裂した場合を半月板損傷という。その切れ方や切れた部位によって、半月板縫合術(半月板を縫って治癒させる方法)の他、縫っても治る可能性が低い場合は、半月板切除を行う。現在は可能なかごり半月板を温存する縫合術を行っている。入院は、当院の近所の方は日帰り手術で行い、遠方の方は2泊3日で行っている。どちらも、膝の前面に約4mm程度の皮膚切開を2ヶ所作り、片方から関節鏡を入れて観察し、もう片方から鏡視下手術用の器具を入れて半月板に対する処置を行う。
膝の障害ではそのほかに前十字靭帯損傷がある。日常生活に支障をきたしたり、スポーツを定期的に継続して行いたいという場合は前十字靭帯再建術を行う。この手術は、ハムストリング腱(大腿後面の膝を曲げる筋肉)や膝前面の膝蓋腱という部分から腱組織を持ってきて、新たに靭帯を作り直すという方法である。靭帯を再建する際に関節鏡を用いることで手術の傷を小さくし、正常な筋肉への傷害を最小限に抑えることができる。
土屋医師は「靭帯再建手術には様々な方法がありますが、我々はできるだけ解剖学的に正常の靭帯に近い形で靭帯再建を行うことを目的として、解剖学的二重束再建術を行っています」と話す。
この方法は、大腿後面のハムストリング腱を採取して2本の束を作り、それぞれを本来の解剖の位置に近いように別々の骨孔に通し再建する。再建された靭帯は徐々に成熟して2年ほどかかって本物の靭帯に近い状態になる。
足関節についても同様に関節鏡を用いた手術を行っている。足関節に生じる離断性骨軟骨炎は重症化したものは手術治療になり、関節鏡視下に軟骨の状態を確認し、軟骨の剥離が軽度であれば骨髄に向かってドリルで穴を開ける治療を行う。軟骨がすでに剥離している場合には軟骨を元あった場所に戻した上で骨釘で固定する。より低侵襲な方法としては関節鏡を用いた軟骨の内固定という治療法も可能であるが、軟骨が広範囲に欠損している場合には軟骨移植術などの追加手術が必要な場合もある。軟骨の修復には時間がかかるため、術後に一定の期間中は松葉杖を用い体重をかけないようにする。
そのほか関節軟骨障害(足関節捻挫、靭帯損傷、足関節骨折などの外傷に伴う関節軟骨の障害)といって、急性期の関節腫脹がとれても足関節に疼痛や引っ掛かり感が残っている場合などは剥がれた軟骨を摘出したり、剥離した軟骨と正常な軟骨部分の段差を滑らかにしたりする治療を関節鏡視下で行う。関節内遊離体(外傷後や離断性骨軟骨炎に伴う場合や関節に軟骨が増生する病気などにより生じる関節内に遊離体)の摘出手術も鏡視下で行っている。
いずれも、術後のスポーツ復帰には十分なリハビリが必要で、低下した筋力をまず正常な状態にまで回復させ、それから安定性、持久性などを高めるトレーニングを十分行って、最終的にそれぞれのスポーツに必要な安定性、俊敏性、持久性などを高めるトレーニングを行い、競技復帰を目指す。

医師プロフィール

1981年 千葉大学医学部 卒業、千葉大学医学部整形外科入局
1991年 千葉大学医学部整形外科助手、米国ボストンのハーバード大学に留学 (スポーツ医学、関節鏡視下手術の研究)
1996年 千葉大学医学部整形外科講師
1996年 川崎製鉄千葉病院整形外科部長として赴任
2002年 川鉄千葉病院より船橋整形外科病院スポーツ医学センターに移る
2004年~2009年 Jリーグ『柏レイソル』のチーフチームドクターを務める
2009年~NTTComのチーフチームドクター、日本スケート連盟強化委員、副部長
2010年 NPO法人千葉県スケート連盟理事
2016年 船橋整形外科病院 副院長

「スポーツ整形外科」を専門とする医師