松本秀男 医師 (まつもとひでお)

慶應義塾大学病院

東京都新宿区信濃町35

  • スポーツ医学総合センター
  • 診療部長、教授

整形外科 外科

専門

膝関節外科、バイオメカニクス、人工関節、関節鏡視下手術

松本秀男

スポーツ選手の外傷や障害に対して、個人の種目やレベルまで考慮して、早期のスポーツ復帰を見据えた治療を行うのがスポーツドクター。松本秀男医師は、本邦における総本山ともいえる慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センターで治療と指導にあたっている。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた、選手にとって頼みの綱のような存在だ。第23回日本臨床スポーツ医学会学術集会では会長として「スポーツ医学の確立」をめざした、スポーツ医学会のリーダーでもある。

診療内容

「これは使い過ぎですから、少し休みなさい」スポーツ選手が同じスポーツ動作を繰り返すことで起こる障害(overuse症候群)に見舞われ、医療機関を受診した際、一般の整形外科医ならそう言うだろう。もちろんそれは正しい指導だが、スポーツ選手は、そう簡単には休めない。
「今休むと、自分のポジションがなくなってしまう」「何年もかけてこの試合のために練習してきた」等々、プロ・アマ問わず、休めない切実な事情はあるものだ。
そんなとき、スポーツ選手の外傷や障害を専門に診るスポーツドクターなら、冒頭のような通り一遍の指導では済ませない。
「完全な休養を取らなくても、どうやったら対処できるか、休まなければならないのであれば、試合や練習のスケジュールの合間に、どのタイミングで休むのがいいのか、スポーツ選手の立場に立ってアドバイスしてくれるのが、いいスポーツドクターだと思います」そう語るのは、同院スポーツ医学総合センターの教授、松本医師だ。
同センターでは、松本医師のような整形外科医を中心に、内科、脳外科、小児科、リハビリテーション科等の医師やスポーツ心理やスポーツ栄養の専門家がチームを組み、アスリートに特化した治療ならびに一般人の生活習慣病改善をめざす運動療法等にあたっている。
「スポーツドクターの最も重要な役割は、スポーツ選手の外傷や障害に対して、取り組んでいる種目やレベルまで考慮して、早期のスポーツ復帰を見据えた治療を行うことです。そのためには、治療中も心肺機能や全身の筋力、さらにはモチベーションの維持が大切で、スポーツ医学に関する総合的な知識が不可欠です。また、これまで生活習慣病や骨粗鬆症などに対する運動療法は、それぞれの専門分野で別々に行われ、患者さんの状態や運動能力を総合的に評価することはされてきませんでした。当センターでは、これらの疾患に対して患者さんの様々な能力を把握し、テーラーメイドの運動療法メニューを提供します。スポーツドクターには、これらの治療にあたっても総合的な知識が要求されます」
さらに松本医師が、スポーツドクターとして重視しているのは、治療前後のケアだ。
「外傷や障害を治すだけでなく、予防できるような身体の動かし方、前後のトレーニング法なども指導します。患者さんがお子さんの場合には、その子の身体に合った種目に変えさせたり、ポジションの変更を薦めることもありますね」(松本医師)
こうした対応は、医学的な知識だけでできるものではない。松本医師は言う。
「スポーツで大切なものは「心・技・体」と言われていますが、医者もやはり、この3つが重要です。患者さんに向き合った時に、この患者さんの現在の状態をどうすれば良くできるか?自分の力で何が出来るか?いつも私は患者さんのことを考えながら診療しています。やはり「心」は最も重要です。しかし、それを治療できる技術がなければ、全く問題になりません。「技」も極めて重要で、しかも常に更に高い技術を追求する姿勢も必要です。そして「体」医師として過酷な日常診療をこなすには、基礎体力が必要なことはもちろんですが、スポーツ選手の気持ちは、自分自身がスポーツをする人の方が良く分かります。スポ-ツドクターの多くは、自分でも様々なスポーツをする人が多いですよ。それによって患者さんの怪我や病気を自分の身になって考えられるのではないでしょうか」
松本医師自身も、サッカー部出身。大学の時は6年間サッカーに明け暮れていたという。
「学生の時のことを思い出しても、勉強した場面は全く出て来ず、サッカーの一場面、一場面が出てきます」と笑うバリバリのアスリートぶりは現在も健在だ。
「サッカー部の学生とフットサルを、友人やテニス部の学生とテニスをしています。それから毎日、自宅から職場まで、片道約12kmを自転車通勤しています」(松本医師)

医師プロフィール

1978年 慶應義塾大学医学部 卒業
1984~1987年  イギリス・リーズ大学留学
1988年 慶應義塾大学整形外科助手
1996年 慶應義塾大学整形外科専任講師
2002年 慶應義塾大学整形外科助教授
2009年 慶應義塾大学スポーツ医学総合センター教授
現在に至る

「スポーツ整形外科」を専門とする医師