汗が少ない 家庭の医学

 汗の分泌をうながす中枢は脳にあるので、精神的に脳が刺激されると汗をかきます。したがって、おどろいたときや緊張したときには汗が出ます。汗腺の発育がわるく、体質的に汗をかかない人もいますが、下痢や嘔吐(おうと)が続いて脱水状態になり、汗が少なくなることがあります。特に子どもや高齢者は脱水になりやすく、注意する必要があります。
 甲状腺機能低下症では、さむけ、活動性の低下、おそい脈、むくみなどの症状とともに、発汗量が減少します。尿毒症では、無尿、動悸(どうき)、むくみなどを伴います。汗は自律神経によって調節されているため、その異常でも、汗が出なくなることがあります。特に、片側だけ汗が出なくなる場合には、末梢の自律神経障害が疑われますので、神経の専門医を受診するのがよいでしょう。

■汗が少ない
症状病名そのほかの症状など
汗が少ない甲状腺機能低下症むくみ、毛が薄い、眠け、不活発、さむがり
慢性腎臓病血尿、尿が泡立つ、高血圧の既往、だるい
尿毒症無尿、むくみ、息切れ、吐き気・嘔吐、頭痛
中枢性尿崩症多尿、口渇
乾癬円形の紅斑と鱗屑(りんせつ)
丹毒発赤、はれ、圧痛、発熱


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹