脈拍の変化
通常、医師は脈拍を手くびの動脈で調べますが、はっきりしない場合は頸(けい)部などの太い動脈をみます。自分でもいつでも脈を調べられるように、ふだんから確かめておくとよいでしょう。頸動脈を軽く押さえてみれば、わかりやすいと思います。
激しい運動をしたときや、緊張したとき、おどろいたとき、熱い風呂に入ったとき、食事をしたときなど、誰でも脈拍が速くなりますが、間もなくもとに戻ります。安静にしているときの脈拍数は、成人では1分間に70回程度ですが、加齢とともに少なくなる傾向があります。また、スポーツマンも、安静にしているときは脈拍数が比較的少なくなります。
ふつう、発熱すると脈の数もふえます。したがって、急性の感染症では一般に脈拍が速くなります。平熱であっても、呼吸器や心臓に異常があると脈がふえることがあります。肺の病気で低酸素血症になる場合や、頻拍性不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋疾患などが原因となります。出血や貧血でも脈がふえ、毎分100回以上の頻脈という状態がしばしばみられます。
逆に、脈拍数が少なくなる場合があります。毎分50回以下を徐脈といい、ひどい痛みや嘔吐(おうと)のときにも脈が少なくなることがあります。不整脈のなかでも、房室ブロック(心臓を動かす信号が乱れる病気)や洞不全症候群(心臓のリズムを調節する洞結節のはたらきが不十分になる病気)では、脈が少なくなります。心拍が数秒以上停止すると失神や脱力することがあります。
また、高血圧などで心臓のはたらきがわるくなると、期外収縮、心房細動、心房粗動などの不整脈を合併して、脈のリズムが乱れることがあります。不規則な脈は、コーヒーや酒を飲むこと、喫煙でも起こることがありますが、心臓のはたらきがわるくない人では危険がないことが多いため、病気がないかどうかを調べ、必要に応じて適切な治療を受けることが重要です。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)
激しい運動をしたときや、緊張したとき、おどろいたとき、熱い風呂に入ったとき、食事をしたときなど、誰でも脈拍が速くなりますが、間もなくもとに戻ります。安静にしているときの脈拍数は、成人では1分間に70回程度ですが、加齢とともに少なくなる傾向があります。また、スポーツマンも、安静にしているときは脈拍数が比較的少なくなります。
ふつう、発熱すると脈の数もふえます。したがって、急性の感染症では一般に脈拍が速くなります。平熱であっても、呼吸器や心臓に異常があると脈がふえることがあります。肺の病気で低酸素血症になる場合や、頻拍性不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋疾患などが原因となります。出血や貧血でも脈がふえ、毎分100回以上の頻脈という状態がしばしばみられます。
逆に、脈拍数が少なくなる場合があります。毎分50回以下を徐脈といい、ひどい痛みや嘔吐(おうと)のときにも脈が少なくなることがあります。不整脈のなかでも、房室ブロック(心臓を動かす信号が乱れる病気)や洞不全症候群(心臓のリズムを調節する洞結節のはたらきが不十分になる病気)では、脈が少なくなります。心拍が数秒以上停止すると失神や脱力することがあります。
また、高血圧などで心臓のはたらきがわるくなると、期外収縮、心房細動、心房粗動などの不整脈を合併して、脈のリズムが乱れることがあります。不規則な脈は、コーヒーや酒を飲むこと、喫煙でも起こることがありますが、心臓のはたらきがわるくない人では危険がないことが多いため、病気がないかどうかを調べ、必要に応じて適切な治療を受けることが重要です。
症状 | 病名 | そのほかの症状など |
---|---|---|
脈が速い、発熱あり | 肺炎 | せき・たん、発熱、疲れやすい、胸痛、食欲がない、息切れ |
心筋炎 | 胸痛 | |
感染性心内膜炎 | 発熱 | |
麻疹(はしか) | 口腔内や舌の白い斑点、全身の発疹、発熱、のどの痛み | |
猩紅熱 | 発熱を伴う発疹、悪寒、いちご舌 | |
日本脳炎 | 発熱、頭痛 | |
マラリア | 周期的・回帰的な発熱、海外旅行後 | |
ジフテリア | のどが苦しい | |
髄膜炎 | 発熱、頭痛、嘔吐、意識障害・失神、吐き気 | |
脈が速い、発熱なし | 慢性気管支炎 | たんを伴うせき、労作時の息切れ |
肺気腫 | 息切れ、せき・たん | |
間質性肺炎 | 意識障害・失神、からせき、息切れ | |
発作性上室頻拍 | めまい、胸部異和感 | |
心不全 | 疲れやすい、血たん、むくみ、食欲がない、息切れ、冷え | |
心臓弁膜症 | 呼吸困難、息切れ、むくみ | |
先天性心疾患 | 青紫色(チアノーゼ)、むくみ、息切れ | |
心筋梗塞 | 動悸、激しい胸痛、食欲がない、息切れ、むくみ、冷や汗 | |
心筋症 | 息切れ、むくみ | |
収縮性心膜炎 | 腹水がたまる、下肢のむくみ、息切れ | |
バセドウ病 | 動悸、やせ、甲状腺のはれ、眼球突出、多汗 | |
貧血 | 疲れやすい、めまい、蒼白(顔いろ)、食欲がない、息切れ | |
中毒 | 全身のけいれんや運動まひ | |
脚気 | ビタミンB1欠乏、アルコール依存、だるい | |
低血圧症 | 眠け、だるい、めまい、意識障害・失神 | |
脈がおそい | 房室ブロック | めまい、息切れ |
洞機能不全症候群 | めまい、息切れ、意識障害 | |
腸チフス | 発熱、発疹、頭痛、意識障害・失神 | |
脈が乱れる | 期外収縮 | 動悸 |
心房細動 | 動悸、息切れ |
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)