顔いろ
一般に、顔いろの良し悪しを、健康かどうかのめやすとしてとらえることがあります。その人によって、顔には独特の色とつやがあり、表情があって、それらのあらわれを基準にして顔いろといっています。
したがって、なんとなく元気がなく皮膚のつやや張りがないとき、また血色がわるく、白っぽく見えたりくすんで見えたりすると、顔いろがわるいといいます。このような場合は、顔の皮膚の血管が収縮して、皮膚の表面から血の色がよく見えなくなり、顔いろが蒼白(そうはく)となっています。激怒したときや、急に熱が上がる前にさむけを感じているときにも起こります。
貧血のために赤血球(血液の成分)の数が減ったり、赤血球の中の血色素が少なくなったりすると、皮膚が白くなり、顔いろが青白くなります。特に高齢者では、がんによる貧血に注意しなければなりません。反対に、多血症といって血液中の赤血球が多くなる病気があり、顔いろは赤みがかって見えます。同じような顔いろは、熱があるときや、恥ずかしがっているときにもみられます。これは、皮膚の血管が拡張しているためです。一酸化炭素やヒ素による中毒のときは、顔いろがバラ色になるとともに、頭痛やめまいを伴います。
顔いろが青紫色に見えることをチアノーゼといいます。くちびるや手足のさきが青紫色になるのが特徴です。先天性心疾患や重度の呼吸器疾患の場合が多く、酸素が血液中に不足した状態です。多血症では赤血球の数が多いために、酸素と結びついている赤血球の割合が減って、チアノーゼになることがあります。突然にチアノーゼが出た場合は、容態が悪化していますので、すぐに酸素吸入などの処置が必要で、医療機関を受診する必要があります。
顔いろが黄色に見えるのは黄疸(おうだん)です。黄疸は、おもに肝臓や胆道の病気で起こり、胆石症、胆道系のがんや膵(すい)がん(膵頭部にできた場合)では、黄疸が最初の症状のことがあります。また、肝臓の感染症や薬による肝障害でもみられ、赤血球のこわれる病気でも起きます。
黄疸かどうかは、眼球の結膜(しろめの部分)が黄色くなっているかどうかを調べるとよくわかります。手のひらなどはミカンの食べすぎなどで黄色くなることもあり、これは黄疸ではありません。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)
したがって、なんとなく元気がなく皮膚のつやや張りがないとき、また血色がわるく、白っぽく見えたりくすんで見えたりすると、顔いろがわるいといいます。このような場合は、顔の皮膚の血管が収縮して、皮膚の表面から血の色がよく見えなくなり、顔いろが蒼白(そうはく)となっています。激怒したときや、急に熱が上がる前にさむけを感じているときにも起こります。
貧血のために赤血球(血液の成分)の数が減ったり、赤血球の中の血色素が少なくなったりすると、皮膚が白くなり、顔いろが青白くなります。特に高齢者では、がんによる貧血に注意しなければなりません。反対に、多血症といって血液中の赤血球が多くなる病気があり、顔いろは赤みがかって見えます。同じような顔いろは、熱があるときや、恥ずかしがっているときにもみられます。これは、皮膚の血管が拡張しているためです。一酸化炭素やヒ素による中毒のときは、顔いろがバラ色になるとともに、頭痛やめまいを伴います。
顔いろが青紫色に見えることをチアノーゼといいます。くちびるや手足のさきが青紫色になるのが特徴です。先天性心疾患や重度の呼吸器疾患の場合が多く、酸素が血液中に不足した状態です。多血症では赤血球の数が多いために、酸素と結びついている赤血球の割合が減って、チアノーゼになることがあります。突然にチアノーゼが出た場合は、容態が悪化していますので、すぐに酸素吸入などの処置が必要で、医療機関を受診する必要があります。
顔いろが黄色に見えるのは黄疸(おうだん)です。黄疸は、おもに肝臓や胆道の病気で起こり、胆石症、胆道系のがんや膵(すい)がん(膵頭部にできた場合)では、黄疸が最初の症状のことがあります。また、肝臓の感染症や薬による肝障害でもみられ、赤血球のこわれる病気でも起きます。
黄疸かどうかは、眼球の結膜(しろめの部分)が黄色くなっているかどうかを調べるとよくわかります。手のひらなどはミカンの食べすぎなどで黄色くなることもあり、これは黄疸ではありません。
症状 | 病名 | そのほかの症状など |
---|---|---|
蒼白(顔いろ) | 出血 | 外傷など |
貧血 | 疲れやすい、めまい、食欲がない、息切れ、脈が速い | |
胃がん | 食欲不振、体重減少、吐血、吐き気・嘔吐、黒色便、胸やけ | |
大腸がん | 食欲不振、やせ、左・右下腹部のしこり、便秘、血便 | |
白血病 | 歯ぐきからの出血、鼻血、貧血、皮下出血、息切れ | |
赤黒い | 酒? | 赤い斑点、顔のほてり |
赤ら顔・青紫色(チアノーゼ) | 多血症 | 慢性的なのぼせ |
青紫色(チアノーゼ) | 先天性心疾患 | むくみ、息切れ、脈が速い |
呼吸器の病気 | 動悸、呼吸困難 | |
黄疸 | 急性肝炎 | 食欲不振、吐き気、全身倦怠感 |
肝硬変 | 腹水、出血傾向、息切れ、吐血、食欲不振、疲れ | |
肝がん | やせ、食欲不振、疲れやすい | |
胆嚢炎 | 右上腹部痛、吐き気・嘔吐、発熱 | |
胆石症 | 右上腹部痛、吐き気・嘔吐、発作的な激痛(疝痛) | |
胆嚢・胆管がん | 右上腹部不快感 | |
新生児の胆道閉鎖症 | 灰白色便 | |
膵がん | 上腹部のしこり、やせ、食欲不振、便通異常 |
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)