尿が少ない 家庭の医学

 腎臓は、体内でできた老廃物や不必要なものを尿として体外に出しますが、同時に体液の量と質を一定に保つようにはたらきます。したがって、尿として出された液体は、体内の不要物質を含むと同時に、その量はからだの必要に応じて増減します。
 1日の尿量は、健康な成人では1500mL程度ですが、暑いときや運動して汗をかいたときに水分を飲まなければ減ります。1回の尿量は200~400mL程度ですので、回数は1日に5回前後がふつうです。尿量が少ないと、尿をためる膀胱(ぼうこう)が刺激を受けず、排尿回数が減ります。
 腎臓のはたらきが低下した腎不全の末期となると、尿がほとんど出なくなります。また、腎臓に異常がなくても、尿道に石がつまったり、排尿を起こす神経に障害が生じたりすると、尿が膀胱にたまっているのに出ない状態も起こります。そうした場合、尿道から細い管を入れて、尿を出す必要があります。
 尿量が異常に少なくなる病気としては、急性腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全の末期、肝硬変、うっ血性心不全、多量の出血、やけど、熱中症、膀胱がん、尿道結石、尿道狭窄、脱水症などがあります。

■尿が少ない
症状病名そのほかの症状など
尿をつくれない急性糸球体腎炎発熱、顔のむくみ、血尿
慢性腎臓病むくみ、倦怠感、尿が少ない、食欲がない
肝硬変黄疸、腹水、出血傾向、息切れ、吐血、食欲不振、疲れ
うっ血性心不全動悸、息切れ、体重増加
からだの水分が少なすぎて尿がつくられない多量の出血息切れ、めまい
やけど発赤、痛み、水疱
熱中症意識障害・失神、のぼせ、頭痛、吐き気
尿を出せない膀胱がん排尿時の痛み、血尿、尿が出にくい
尿道結石血尿、痛み
尿道狭窄痛み
前立腺肥大症排尿時の痛み、尿もれ


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹