尿の色やにおい 家庭の医学

 通常、尿は透明で、早朝はやや濃く、昼間は淡い黄色です。黄疸(おうだん)になると、濃い茶褐色になります。ビタミン薬をのんだ場合も、尿に色がつきます。赤色の血色素尿がみられるのは、溶血、肝がん、重度のやけどなどのときです。赤褐色(かっしょく)のミオグロビン尿は、激しい運動や重度の外傷のあとなどにみられます。淡紅色の尿が出るときは、薬による肝障害、黄白色のときは腎盂(じんう)腎炎、膀胱(ぼうこう)炎、尿道炎などが疑われます。
 尿に糖がまじって甘いにおいがするのは糖尿病の特徴であり、血液がまじったり、たんぱく質がまじって泡立ったりするときは、ネフローゼ症候群などの腎臓の病気や、高血圧症、膠原(こうげん)病などの可能性があります。
 採取された尿が、時間とともに濁ることがあります。オレンジ色は尿酸塩、白く濁るのは炭酸・リン酸・シュウ酸塩などで病的なものではありませんが、はじめから濁っている場合は、尿路感染症に伴う細菌尿や、フィラリア症・胸部腫瘍に伴う乳糜(にゅうび)尿(乳白色に濁っている)の疑いがあり、検査を要します。

■尿の色やにおい
症状病名そのほかの症状など
茶褐色尿黄疸をきたす疾患皮膚が黄色い
赤色尿重度の熱傷痛み
淡紅色尿薬剤性肝障害全身倦怠感、食欲不振
黄白色尿腎盂腎炎発熱、腰痛、背中をたたくと片側が痛む
膀胱炎頻尿、排尿時痛、血尿、残尿感
尿道炎排尿痛、発赤
乳白色(乳糜色)尿フィラリア症足が象のようにはれる
尿に甘いにおいがする糖尿病口渇、尿の回数や量が多い、夜間尿、全身倦怠感、やせ
尿に血液がまじる急性糸球体腎炎発熱、顔のむくみ、尿が少ない
尿が泡立つネフローゼ症候群全身のむくみ、体重増加


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹