嚥下困難 家庭の医学

 飲み込むときにつかえたり、むせたりすることがあります。あきらかな病気がなくても、呼吸とタイミングがあわず、むせることはよくあります。
 病気としてまず考えられるのは、食物の通る道の異常であり、扁桃(へんとう)炎、食道アカラシア、がんや食道裂孔ヘルニアで、食道が狭くなるために、飲み込めなくなります。さらに、大動脈の異常や大動脈瘤(りゅう)で食道が圧迫されると、つかえる感じが起こります。
 脳梗塞など、中枢神経の病気では、のどの神経がまひしてむせやすくなったり、飲み込めなくなったりすることがあります。
 のどに問題がありそうならば耳鼻咽喉科、気になる箇所がくびより下であれば内科をまず受診するのがよいでしょう。

■嚥下困難
症状病名そのほかの症状など
食物の通る道の異常急性扁桃炎のどの痛み、発熱
食道アカラシア膨満感、吐き気・嘔吐
食道がんやせ、食欲不振
食道裂孔ヘルニア胸やけ、食後の胸痛、高齢者
食道への圧迫による大動脈の異常食道の外からの圧迫
大動脈瘤食道の外からの圧迫、拍動性腫瘤
脳に原因あり脳梗塞意識障害・失神、頭痛、感覚障害、めまい、片側の顔面や手足のまひ


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹