だるい・疲れやすい 家庭の医学

 いままでは、だるさや疲れを感じなかった程度の活動で、だるさを感じるようになるのは異常で、病気のはじまりの可能性があります。
 熱が出るときには、一般にだるさを感じることが多く、さむけを感じることもあります。風疹(ふうしん)、インフルエンザ、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症、急性扁桃(へんとう)炎、肺炎、腸チフス、腎盂(じんう)腎炎、感染性心内膜炎、胸膜炎、気管支炎など、さまざまな感染症で起こります。特にだるさが特徴的といわれるものとして、肝炎や腎炎があります。肺結核などの結核菌感染症は、かつてはだるさを感じる病気の代表でした。
 熱のない場合は、慢性の病気が多く、むくみを伴う場合には、心臓、肝臓、腎臓などのはたらきが低下し、病気がある程度進行していることが多いようです。貧血や、がん・白血病の初期症状のこともあり、注意が必要です。
 糖尿病も、だるさをうったえる代表的な病気で、低血糖、甲状腺機能低下症や、慢性副腎機能低下症も、だるさがおもな症状となります。
 筋痛性脳脊髄炎は、長らく慢性疲労症候群と呼ばれ、その名称のために精神的な病気のように誤解されていました。労作後の神経免疫系の極度の消耗を特徴とし、何度もくり返す場合があり、重症では数年間にわたって寝たきりの生活を余儀なくされる難病です。
 低血圧では、だるさや立ちくらみが主症状となります。高血圧や心不全などで利尿薬を服用している場合は、血液中のカリウムやナトリウムが失われ、極端にだるくなる場合があります。

■だるい・疲れやすい
症状病名そのほかの症状など
発熱ありインフルエンザ頭痛、関節痛、鼻汁、せき・たん
感冒(かぜ症候群)頭痛、くしゃみ、鼻汁、のどの痛み、せき・たん、吐き気、腹痛
風疹のどの痛み、こまかく赤い発疹
麻疹(はしか)口腔内や舌の白い斑点、全身の発疹、のどの痛み
急性扁桃炎のどの痛み、嚥下困難
肺炎せき・たん、胸痛、食欲がない、息切れ
肺結核食欲がない、息切れ、喀血、せき、体重減少、寝汗、微熱
胸膜炎息切れ、深呼吸やせきに伴う痛み、からせき
心膜炎胸痛、深呼吸や体動に伴う痛み、息切れ
急性肝炎食欲不振、黄疸、吐き気
腎盂腎炎腰痛、背中をたたくと片側が痛む、尿の濁り
急性糸球体腎炎顔のむくみ、尿が少ない、血尿
発熱なし心不全血たん、むくみ、食欲がない、息切れ、冷え
肝不全羽ばたき振戦、意識障害
慢性腎臓病血尿、尿が泡立つ、高血
貧血めまい、蒼白、食欲がない、息切れ、脈が速い
がんむくみ、食欲低下、体重減少
白血病歯ぐきからの出血、鼻血、貧血、皮下出血、息切れ
甲状腺機能低下症むくみ、汗が少ない、毛が薄い、眠け、不活発、さむがり
慢性副腎機能低下症体重減少、脱毛
糖尿病口渇、尿の回数や量が多い、尿の甘いにおい、夜間尿、全身倦怠感、やせ
筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)労作後の極度の消耗
低血圧症眠け、めまい、意識障害・失神
心身症のぼせ


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹