胸やけ、げっぷ 家庭の医学

 胸やけは、食道下部の運動障害で起こるといわれており、強酸性の胃液の食道内への逆流、食道内圧の高まり、胃液の酸度の上昇などで生じます。また、甘い物や穀物、いも類を食べると、胃内圧を高めたり発酵したりして胸やけが起こりやすくなります。
 病気でもっとも多くみられるのは食道裂孔ヘルニアで、高齢の腰の曲がった人に生じやすく、胃が胸腔のほうに飛び出し、胃の入り口である噴門の締まりがわるくなり、胃液が食道に逆流することによって、胸やけが起こります。そのほかには、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、慢性胃炎のときに胸やけが起こり、妊娠でもうったえることがあります。

 げっぷは、胃がガスによっていちじるしく引き伸ばされ、胃から食道を通って、体外へガスが出る現象をいいます。ビールなどの炭酸飲料を飲んで出るげっぷは、多くの人が経験する健康的なものといえますが、そのようなきっかけがなくしばしば起こったり、臭いにおいがあったりするときは病的で、胃・十二指腸潰瘍や胃がんが考えられます。

■胸やけ、げっぷ
症状病名そのほかの症状など
胸やけ食道裂孔ヘルニア嚥下困難、食後の胸痛、高齢者
逆流性食道炎上腹部痛、臥位や食事で痛みが増強
慢性胃炎食欲不振、口が臭い、胃のもたれ
胃下垂症食後の胃のもたれ、食欲がない、便秘
神経性胃炎不定愁訴
多発するげっぷ胃・十二指腸潰瘍食欲不振、上腹部痛、吐き気・嘔吐、吐血、黒色便(血便)
胃がん食欲不振、体重減少、吐血、吐き気・嘔吐、黒色便


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹