吐血 家庭の医学

 消化器から出血し、口から吐き出されるものを吐血(とけつ)といいます。食道や胃からの出血が多いですが、十二指腸や胆道の出血が逆行して胃に入り、吐血することもあります。出血から吐血までの時間が長く、胃にたまっていた場合には、黒褐色になります。
 大量に何リットルも出るのは、胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤(りゅう)が多いですが、まれに胃炎でもみられます。いずれにせよ、安静にして、すぐに診察を受けるべきです。
 十二指腸よりも下の下部消化管(小腸・大腸・直腸)からの出血は、逆流して吐血することは少なく、ほとんどが黒い下血(血便)として出ます。出血しても排便までに時間がかかったり、トイレで見のがされたりすると、貧血が進行するまで見つからない場合があります。

■吐血
症状病名そのほかの症状など
吐血食道炎食事中の痛み、嚥下困難
食道潰瘍胸やけ、嚥下困難
食道がんやせ、食欲不振、嚥下困難
急性胃炎上腹部痛、胸やけ、吐き気
胃・十二指腸潰瘍食欲不振、上腹部痛、胸やけ、吐き気・嘔吐、黒色便(血便)
胃がん食欲不振、体重減少、吐き気・嘔吐、黒色便、胸やけ
食道静脈瘤破裂突然の大量吐血
マロリー・ワイス症候群飲酒後の嘔吐


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹