全身の発疹
目で見、手で触れることのできる皮膚や粘膜の病変を発疹(ほっしん)と呼びます。特に子どもで、発熱とともに発疹が出るものとして、麻疹(ましん:はしか)、突発性発疹、猩紅熱(しょうこうねつ)、川崎病があります。腸チフス、発疹チフス、パラチフスは、頻度は少なくなりましたが、特徴的な小さく赤い発疹が出ます。全身性エリテマトーデス(SLE)では急に発熱し、赤い斑点様発疹が顔、手足、関節に生じ、全身にひろがります。
皮膚だけでなく、口の中などの粘膜にも発疹がみられることがあります。麻疹のときのコプリック斑は、奥歯の脇のほおの粘膜にできる赤い発疹で、特徴的です。ベーチェット病では、皮膚、粘膜、目がおかされます。
風疹(ふうしん)や水ぼうそう(水痘〈すいとう〉)は子どもに多くみられ、いずれも軽い発熱を伴います。風疹では、顔に多くの発疹が生じ、からだや手足にも出ます。水ぼうそうでは、小さな赤い斑点から水疱(すいほう:水ぶくれ)に、さらに黒いかさぶたになって、とれます。梅毒では、陰部のしこりや潰瘍のほか、全身にいろいろなかたちで大小の発疹(バラ疹、潰瘍性梅毒疹)が出ます。
じんましんは、不定形の膨疹で、非常にかゆく、次々に新しいものができては消えます。かゆみが強く、皮膚がただれた状態である湿疹は、あきらかな原因がわからないことが多いです。いっぽう、ほとんどすべての薬が薬疹の原因になりうるといっても過言ではなく、発疹がみられたときに新しい薬をのみ始めていれば、疑ってみる必要があるでしょう。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)
皮膚だけでなく、口の中などの粘膜にも発疹がみられることがあります。麻疹のときのコプリック斑は、奥歯の脇のほおの粘膜にできる赤い発疹で、特徴的です。ベーチェット病では、皮膚、粘膜、目がおかされます。
風疹(ふうしん)や水ぼうそう(水痘〈すいとう〉)は子どもに多くみられ、いずれも軽い発熱を伴います。風疹では、顔に多くの発疹が生じ、からだや手足にも出ます。水ぼうそうでは、小さな赤い斑点から水疱(すいほう:水ぶくれ)に、さらに黒いかさぶたになって、とれます。梅毒では、陰部のしこりや潰瘍のほか、全身にいろいろなかたちで大小の発疹(バラ疹、潰瘍性梅毒疹)が出ます。
じんましんは、不定形の膨疹で、非常にかゆく、次々に新しいものができては消えます。かゆみが強く、皮膚がただれた状態である湿疹は、あきらかな原因がわからないことが多いです。いっぽう、ほとんどすべての薬が薬疹の原因になりうるといっても過言ではなく、発疹がみられたときに新しい薬をのみ始めていれば、疑ってみる必要があるでしょう。
症状 | 病名 | そのほかの症状など |
---|---|---|
発熱を伴う | 麻疹(はしか) | 口腔内や舌の白い斑点、のどの痛み |
突発性発疹 | 解熱後の発疹、食欲不振 | |
猩紅熱 | 悪寒、いちご舌 | |
川崎病 | 目の充血、いちご舌 | |
腸チフス | 頭痛、意識障害・失神 | |
パラチフス | 食欲不振、海外旅行後 | |
全身性エリテマトーデス | 微熱、不随意運動、関節痛、倦怠感、食欲不振 | |
ベーチェット病 | 口内炎、陰部潰瘍、視力低下 | |
発熱なしか、軽度 | 風疹 | のどの痛み、こまかく赤い発疹、だるい |
水痘(水ぼうそう) | 水疱とかさぶた、かゆみ | |
梅毒 | 陰部のしこり・潰瘍、知覚鈍ま、バランスの障害、排尿障害 | |
じんましん | かゆみ | |
湿疹 | ただれ、かゆみ、発赤、表面がジメジメ | |
薬疹 | 薬の服用、全身の発疹 |
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)