「医」の最前線
医学的知識に人文科学を含めて
2019年12月に中国で発生した新型コロナウイルスの流行は、瞬く間に世界中に拡大しました。約1年の間に感染者数6000万人、死亡者数140万人という大きな被害をもたらしています(2020年12月1日)。このように世界的な流行をおこした感染症の本質を理解するには、通常の医学的な知識だけでなく、歴史や地理など人文科学を含めた俯瞰(ふかん)的視点での検討が必要になります。今回の連載では、こうした視点から新型コロナの流行を解説していきます。
【濱田 篤郎(はまだ あつお)】
東京医科大学病院渡航者医療センター特任教授。1981年東京慈恵会医科大学卒業後、米国Case Western Reserve大学留学。東京慈恵会医科大学で熱帯医学教室講師を経て、2004年に海外勤務健康管理センターの所長代理。10年7月より東京医科大学病院渡航者医療センター教授。21年4月より現職。渡航医学に精通し、海外渡航者の健康や感染症史に関する著書多数。新著は「パンデミックを生き抜く 中世ペストに学ぶ新型コロナ対策」(朝日新聞出版)。